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 白鷺城が完成したとき、菜緒虎たちはマッサチン国リュウイチ・ソウキ騎士伯領の成り立ちを聞いた。  ソウキ騎士伯領の前の名前は南蛮地アキ。  マッサチン国の東端、魏府王国と国境を接する場所にあるドラド辺境伯領から、アタラカ山脈沿いに真っすぐ南。  大陸の最南端まで移動した場所にある超辺境の地。  魔の荒野が生まれる前は、そこそこ栄えた場所だったといい伝えられてはいるが、マッサチン国でのイメージは流刑地。  マッサチン国の大貴族以上の家でお家騒動が起きると、負けた人間が形式上、決まってこの地に療養と称して押し込められることで有名だからだ。  初代領主はリュウイチの実父であるコジ・ソウキ。  ドラド辺境伯に騎士として仕え、7年前のマッサチン国と魏府王国との間で起こった戦争で魏府国の千人将を二人討ってマッサチン国に勝利をもたらした英雄。  しかし、この功績で英雄コジはこの辺境の地に飛ばされた。  理由は、戦争の原因となった、当時、夫君がいたコジの姉に対するマッサチン王の横恋慕。  王としての強権を発動するも、夫婦揃って魏府国に逃げられる。  怒ったマッサチン王が夫婦を追って魏府王国の国境に軍を派遣。難癖に近い形で戦争が始まったのだ。  戦争が起きた原因と戦争が終わった原因に関わった姉弟。  マッサチン王の逆恨みと、外部からマッチポンプにみえる状況が、コジ・ソウキの10年間辺境への左遷になった。  しかし、南蛮地アキに赴任したコジは、村が全滅していることを知る。  原因はすぐに判った。死に至る病の蔓延。  アルテミスが村に来たときは、リュウイチ以外が病に罹っており、病に罹った人間は程なく全員が死亡したという。 「その時6歳だった私を救ってくれたのがアルテミスだ」  リュウイチの言葉に、アルテミスは「偶然ですよ」と照れたように笑う。  それから、リュウイチが生きるための生活が始まる。  リュウイチに召喚術士…魔物を召喚し使役するという才能があり、アルテミスという魔法使いがいたのは幸いだった。  適切な指導のもと、リュウイチの召喚術士という才能は花開き、ついには千数百のスケルトン軍団を率いる術士になる。  スケルトンを軍事ではなく、まず経済基盤の整備に利用したのは菜緒虎たち取っては慧眼と言えた。 「妾は、大災厄とよばれる魔法で魔の荒野を産んだ魔法使いの一人なのだ」  リュウイチの過去を語るついでなのか、アルテミスが自らの素性を語る。  いまから4000年ほど前。この大陸の南部。いまの魔の荒野の中央辺りには、ヱツと呼ばれる魔法国があった。  彼女は、ヱツ魔法国の魔法研究所の所長として魔法の開発と改良に携わっていたという。  ある日、ヱツ魔法国は、北方の騎馬民族からの大規模侵攻に曝される。  北方の騎馬民族に対抗すべく、アルテミスたち研究員は大規模攻撃魔法「ホウライ」を開発した。  閉じた空間で「とある物質」を衝突させ、そのとき発生したエネルギーの一部を取り出し敵にぶつけるという魔法。  その魔法を最初の実戦に投入したとき悲劇が起きた。  術者のひとりが魔法の制御に失敗して魔法が暴走。死の光と数千度の熱を伴った衝撃波がヱツとその周辺の全てを破壊したという。  普通の生物だと数刻で衰弱して死に至る濃い瘴気。その瘴気に順応して凶悪な進化を遂げる魔物。  魔法が暴発したときに死んだはずのアルテミスが、|不死者《アンデット》となって生き残った。  そういう世界を産み出した事に対する贖罪をするために生き残ったのかもしれないと本人は嗤うのだった。
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