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「――いやー鑑崎くん。この間は大変だったね。奏心に首折られかけちゃって」 「その話はもういいってば」  四時限目が終わって昼食になり、奏心は時雨と結と机を向かい合わせにして、三人で弁当を食べていた。時雨は義母に作って貰ったら唐揚げ弁当を頬張っていた。  一昨日、時雨の家から帰ってきてすぐに時雨から返信が来て何かと話題が弾み、その事が嬉しすぎて夜更かしまでしてしまっていた。 「結構痛かった」 「鑑崎くんまで……」  奏心に見せつけるかのように首を擦る。思いの外、時雨は根に持つタイプだと奏心は思った。 「にしても、ほんと突然だね。あんなに嫌がってたのに」 「ん、まぁ…あの後義母さんに色々言われちゃったから」 「鑑崎くんのお義母さんってどんな人?」 「…いい人。多分あの人以上に優しい人はいないと思う」  結の質問に時雨が答える。実際、あんなにいい人はいないだろう。奏心から見てもそう見える程の人だった。  時雨は続けて唐揚げを頬張る。 「……」 「ていうか、随分豪華じゃない……? その弁当。一段目はおにぎり詰め込みで、二段目は唐揚げにアスパラガスの肉巻きやハンバーグに、三段目は…何これ? 蟹? デザートにプリンまで…」 「食べる?」 「いや、いい…」 「はは…お義母さんらしいや」  奏心の言葉に、結は箸を止める。 「お母さんって…奏心の? 鑑崎くんの弁当、奏心のお母さんが作ってんの?」 「…あ」 「…あーあ」  口を滑らせた奏心に時雨はため息をつく。 「…簡単に言うと、黒華さんが義母さんに気に入られた」 「なんか、うん。ついていけないな」  水筒に入れたお茶を飲みつつ結は言った。  それと同時に時雨は手を合わせ、「ごちそうさま」と言い、時計を見て、席を立った。 「よっ…と」  トイレに行くかと思いきや、時雨はベランダへの戸を開けてベランダに出る。そして身を乗り出して上をみる。 「鑑崎くん?」 「何してんだー?」  二人が時雨に続いてベランダに出る。同時に空から何かが降ってきて、時雨はそれを受け止めた。 「っ!?」 「なにっ!?」  身を乗り出して落ちてきたものを確認する。  人だ。赤いネクタイ、一年生の男子生徒が、空から降ってきた。 「あ…やばい…」  時雨の男子生徒を掴む腕が震え出す。体力はあっても、力は無いみたいだ。 「ちょ、ちょっと!!」  落ちそうな男子生徒の服を奏心と結も腕を伸ばして掴む。それから程なく男子生徒は引き上げられた。 「…いやーびっくりした。先週死人が出たばっかだってのに」  そう言いながら結は教室内の花瓶が置かれた机を見る。三日前、屋上から人が落ちたことを奏心や結は今も忘れられずにいる。時雨はそうでもないのかもしれないが。 「…もしもーし」  男子生徒の頬を叩きながら時雨は返答を申し込む。しかし、彼が起きることは無く、ずっと下を向いている。 「ダメだ。気絶してる。僕が保健室に連れてくよ」 「…うん」 「よっこいせっと」  時雨は男子生徒を担いで、教室を出ていった。
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