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「雨の日は決して憂鬱なだけじゃない」
 飴と雨と占いと。
 少し不思議な甘酸っぱいボーイミーツガール。
 爽やかな読後感を約束する短編です。
Suiu_a
(ID pw5J19FuHdcos)
アマガサ×ドロップ
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「ふうちゃん、大きくなったら春くんと結婚する!
「うん!ふうちゃん、絶対結婚しようね」
「ずっと一緒だよ!
「うん! 一緒! 約束!
 
 家が隣同士で生まれた時からずっと一緒だった。
 幼稚園で遊んでいる際、二人はその約束をした。
 
 
 ***
 
 
「やだよ……。ふうちゃん、春くんとお別れしたくない……」
 
 だが、ずっと一緒という約束は果たされず、 "春くん" は小学校三年生の時に転校することになった。
 



 ──理由は父親の転勤だ。
 
「ふうちゃん、ごめんね。一緒にいられなくてごめんね……。けど、僕必ず戻ってくるから。ふうちゃん、迎えに行くからね」
「うん! 絶対だよ……」
 
 引越し当日、二人はまた約束をした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ──あれから八年。
 
「(ふうちゃん、迎えにきたよ)」
 
 " 春くん" はまた父親の転機により元いた所へ戻ってきたのだった。
 それは、春も終わりこれから夏が始まる季節のことだ。
 
「今日は転校生を紹介する。入っていいぞ」
「はい」
 
 返事とともにドアが開けられた。
 
「じゃあ、自己紹介をお願いします」
さくらいはるです。よろしくお願いします」
 
 春哉は深々とお辞儀をした。



 
「桜井……じゃあ、席は一番後ろの窓際から二番目。野海の隣な」
「はい」
「(のうみ……まさかね)」
 
 春哉は隣の席の名前を気にしながらも席に着いた。
 
「俺、こうづきあき」っていうんだ。よろしくな」
 
 前の席に座っていた秋翔が振り向いた。
 
「よろしく!
「前はどこに住んでたんだ?
「元々はこっちにいて東京に引越しして、戻ってきたんだ」
「前いたのかー!じゃあどこかで会ってたかもしれないんだな」
 
 春哉と秋翔とが仲良くなるまではそう時間がかからなかった。
 授業も終わり後はHRをして帰るだけだ。
 
「(やっと、帰れるー!)」
「……──じゃあHR終わり! 気をつけて帰るんだぞ!
「あ、野海! 隣の桜井に学校案内してやってくれ!
「……え! 私がですか?
「おう! 頼んだぞ!
「……はい」
 
 担任はそう言い、教室を後にした。
 
「は…る……あ、じゃあ学校案内するね」
「うん? よろしくお願いします!
「(最初になにか言った気がしたけど何だったんだろ?)」
 春哉は楓夏の聞こえなかった言葉が気になったがそれを聞くことは無かった。
 荷物は机に置いたまま、二人は一階へ降りた。
 春哉たち二年生は三階が教室だ。



 
「えっと……。ここが保健室でこっちが三年生の教室」
「三年生は一階なんだね」
「うん。一年生が四階だよ」
「ありがとう! あ、そういえばまだ名前聞いてなかったね。さっき自己紹介したです。よろしくね」
 
 三年生の誰もいない教室の廊下で自己紹介を始めた春哉。
 
「……わ、私はのうみふうかよろしくね」
「のうみ…ふうか。……あ、ふぅちゃん? ふうちゃんだよね?
「……えっと。ご…ごめんなさい、どこかで会いました?
「僕だよ僕! 春くん!よかったー会えて!
「……ちょっと、やめて!
 
 久々に会えた喜びからか春哉は楓夏を抱きしめた。
 楓夏から歓迎されると思っていた春哉は綺麗に平手打ちをされたのだった。
 
「…いたっ。あ、ふうちゃん……」
 そして逃げられた。
「(追いかけなきゃ……あ、いた!)」
 
 すぐに追いかけると遠くから楓夏が三年二組の教室に入るのが見えた。
 ガラッ
「……ふうちゃん。ごめんね」
 
 教室に入ると窓際に楓夏がいた。
 
「来ないで!
 
 楓夏は震えながらこれ以上下がれない壁に背中を押し付けた。
 
「ごめん……。僕のこと覚えてない?
 



 その問いかけに対し楓夏は俯いていた顔を上げ、春哉の顔を見つめた。
 
「……お、覚えてない。……ごめんね」
 
 楓夏は頭を横に振った。
 
「そっか……。怖い思いさせてごめんね」
 
 春哉は重い足取りで教室を後にした。
 
 
 ***
 
 
「(なんで、ふうちゃん僕のこと覚えてないんだろ? 八年経ったから? 約束……したのに。迎えに行くって……)」
 
 家に帰った春哉の頭の中は楓夏のことでいっぱいだ。
 いくら八年経ち顔立ちが変わったとしても名前を聞けばわかるはずだ。
 
 ──次の日。
 
 春哉は重い足取りで教室へ向かった。
 教室に着くと隣の席の楓夏はまだ空いたままだ。
 
「(よし、ふうちゃん来たら挨拶しよ……。覚えてないなら、思い出してもらいたいし! ……けど、覚えてないんじゃなくて……嫌われてたらどうしよう……」
 
 またしても春哉の頭は楓夏でいっぱいだ。
 
「春哉! おはよう!
「……秋翔か。おはよう!
 
 春哉は俯いていた顔を上げ、秋翔と確認すると笑顔を作った。



 
「なんか、すごい顔してたけど大丈夫か? ここすごいぞ」
 
 秋翔は自分の眉間を指さした。
 
「……え? そんなすごい顔してた?
「ああ。すごかったよ。まあ、転校してきたばっかでわかんないことあるだろうし何かあれば言ってくれよ!
「……あ…秋とぉー。ありがとう……」
「なんだ、なんだ。今度は泣きそうな顔して。忙しい顔だな」
 
 春哉は秋翔の優しさに泣きそうになりながらも頑張ろうと心に決めたのであった。
 
「あ、楓夏おはよー!
「冬空……おはよう!
 
 楓夏が来るなり、楓夏の前の席に座る女子生徒が声をかけた。
 楓夏は一瞬春哉を見るが視線を彼女に移した。
 彼女の名前はいぶきと
 
「(よし! 行くんだ!!)」
「あ……ふ、ふうちやん。お…おはよう?
 
 席に着いた楓夏に挨拶すると楓夏の体がビクッと跳ねた。
 気づいているようだが返事はなかった。
 
 ──そして放課後。
 
「(バイバイって言おう!)」
「……ふうちゃん。バ…バイバイ」
 
 席を立つ楓夏に声をかけたがやはり返事はなかった。
 
 ──そんな返事のないやり取りを一週間続けた。



 
「(もう、今日で一週間だ。嫌われちゃったのかな?)」
 
 そう。一週間目の朝の挨拶も返事がなかった。
 
「はーるや! 今日のお昼違う所で食べようぜ!
 
 朝のHR前、頭をかかえた春哉に秋翔は声をかけた。
 
「違う所?
「……まあ、行ってからのお楽しみな!
 
 秋翔はどこで食べるか濁し前を向いてしまった。
 いつもは購買で買ったものを教室で食べるか学食に行ってお昼を食べている。
 本来なら頭の中は返事の貰えなかった楓夏でいっぱいのはずだが……今日は違う。
 どこでお昼を食べるのか楽しみでいっぱいだった。
 
 ──そしてお待ちかねのお昼。
 
「購買よってから行こうぜ」
「どこで食べるの?
「……だから、まだ秘密」
 
 秋翔は人差し指を立て唇に当てた。
 
「ケチー教えてくれてもいいじゃん」
「まあ、楽しみがあった方がいいだろ?
 
 そんな秋翔の顔は満面の笑みだった。
 
「春哉なに食べる?
「うーん。メロンパンとカレーパン」
「了解! おばちゃん! メロンパン一つ、カレーパン二つ、あんぱん一つちょうだい」



 
 購買には、パンも売っており秋翔はおばちゃんに注文をした。
 
「はいよ! 四百十六円だよ」
「はい!
「ちょうどだね」
 
 パンを受取った秋翔は春哉の手を引いた。
 
「え、どこ行くの? 待ってお金!
「今日は俺の奢り。あ、目つぶってろよ」
「え?
「行くぞ!
 
 購買から渡り廊下に出るとそう命じられた。
 階段や曲がる時などは必ず声をかけてくれた。
 
「よし! 着いた! まだだぞ」
 
 着いたのか、秋翔は一旦足を止めた。
 
 ──ガチヤ
 
 扉が開く音と同時に風が春哉に向かって吹いた。
 
「目、開けていいぞ」
「え……! ここは入れるの?
 
 目を開けた先、そこは屋上だった。
 普段は一般生徒は入れないはずだ。
 
「まあ、コネを使って借りたんだ」
 
 秋翔は屋上の鍵指に引っ掛けくるっと回してみせた。



 
「……なんか秋翔ってすごいね」
「よし! お昼食べようぜ! あ、このことは内緒だからな!
「わかった」
 
 二人で屋上のフェンス側に移動し座った。
 
「はい、メロンパンとカレーパン」
「ありがとう。お金も……ありがとう」
「どういたしまして!
「美味しい!
 
 春哉はメロンパンにかぶりついた。
 
「美味いな!
 
 二人は夢中で二つのパンを頬張った。
 
「……なあ、最近さ」
 
 二人ともパンが食べ終わり、秋翔は、そこまで言うと一旦止めた。
 
「……最近?
「……元気ないけど何かあったか?
「あ……えっと」
「話しにくいことなら……別に言わなくていい。……ただ最近ここ、シワ寄ってるからさ」
 
 秋翔は眉間を指さした。
 
「……話せないわけじやないよ。えっと……。僕元々ここに住んでたって言ったでしょ?
 
 春哉は飲み物をひと口飲むと話し始めた。



 
「ああ、小三の時に東京行ったんだよな」
「うん、引っ越す前まで仲良しだった幼馴染がいたんだ……。幼稚園の時に、け…結婚しよって約束したの」
「お…小さいのにすっごい約束したな」
「……でしょ? でも僕引越しすることになっちゃったから、また約束したんだ」
「何の?
「また迎えに来るって……」
「じゃあ……それが野海なのか」
「うん……え! なんでわかったの? 僕言ったけ?
 
 なんと秋翔は春哉の幼馴染を当ててたのであった。
 
「いや、お前見てたらわかるだろ。毎日毎日、野海に挨拶しては無視され落ち込んでの繰り返しだ。それでさっきの話し聞けばな」
「そっか。うん……僕はふうちゃんを迎えに来たんだ。だけど……ふうちゃんは僕のこと覚えてないって……」
「……ほんとに覚えてないのか?
「え、どういうこと?
「いや、俺……。俺の彼女がさ、それ俺の隣のやつな」
「それって雪吹さん?
「そう、冬空が前に野海から幼馴染の話し聞いたことがあってさ」
「え! ほんとに?
 
 春哉は驚き思わず立ち上がった。
 
「まあ、座れよ。けど、それが春哉のことか分からねぇ」
「そっか……」
「あのさ……今まで毎日話しかけて無視されてたから。今度は逆に話しかけないようにしてみれば?
「……話しかけない?
 
 春哉は意味がわからず首を傾げた。
 



「そう! よく言うだろ? 押してダメなら引いてみろって!
「……なるほど! じゃあ明日からやってみる!
「おう! 頑張れ!
 
 
 ***
 
 
「楓夏! おっはよー!
「冬空ー! おはよう」
「(話しかけない……。話しかけない。……けど、見るのはいいかな?)」
 
 ちらっと横目で楓夏を見てみた。
 
「(わっ! 目合っちゃった)」
 
 気づかれないように見るはずが楓夏と目が合ってしまったのだ。
 春哉はびっくりし、思わずすぐに逸らした。
 
「(……どうしよう。嫌な人だと思われたかな?)」
 
 
 ──それから春哉の話しかけない試練は続いた。
 
 隣に楓夏が来ても楓夏が帰るときも……。
 元々、挨拶以外は話しかけてなかった為、そこだけ我慢すれば春哉は楓夏と "話さない" ことが可能だ。
 
 
 ***
 
 
 話さないのが一週間続いたある日のお昼。
 



 ──屋上にて。
 
 あれから、春哉と秋翔は屋上でお昼を食べるのが日課になった。
 
「あーきと。僕もう辛いよー」
 
 屋上の入るや否や春哉は叫んだ。
 
「話せないのがか?
「うん……」
「大丈夫だ! 元々話せなかったからな」
 
 秋翔の返答は辛口だった。
 
「いや……。うん、まあそうだけど。話しかけたくてもできないのが辛い。今まで返事貰えなかったけど……」
「まあ、そうだな。……けど、春哉気づいてないだろ?
「何が?
「結構見てるぞ」
「誰が?
「野海が」
「え!!
「ほんと!
 
 驚きから春哉は立ち上がった。
 どうやら驚くと立ち上がる癖があるようだ。
 
「落ち着け。座りな」
「ごめん……。ほんとにふうちゃん、僕のこと見てるの?
「ここ三日間くらい朝と帰りに見てたぞ」
「なんか……嬉しい」
 
 春哉の瞳にはうっすらと涙が浮かんでいた。
 



「向こうから話しかけられるまでそのままな。辛いかもだけど頑張れよ!
「うん! ありがとう!
 
 
 ── 一方、こちらは楓夏のお話。
 
 春哉が楓夏に話しかけなくなり、数日経ったある日のこと。
 
「……うか、楓夏!
 
 休み時間、冬空は真後ろに座る楓夏へ声をかけるも、なかなか気づいてもらえずにいた。
 
「……あ! ごめん、なに?
「ずっと見てたね。……気になるの?
 
 冬空は楓夏が見ていた人物に視線を移した。
 その人物は冬空達がいる窓際ではなく、廊下で他の生徒と話していた。
 
「え? そんなんじゃないよ!
 
 楓夏は首を左右に振り、否定した。
 
「ほんとに?
「……うん」
 
 少し間が空き、頷いた楓夏の頬はほんのり赤く染まっていた。
 
「最近挨拶してこなくなったね」
「……そうなの。前は私が返事しなくても……って別に待ってるわけじゃないよ!
 
 思いっきり否定した楓夏の顔は悲しい顔をしていた。
 
「ずっと気になってたんだけど、前に言ってた幼馴染って彼?



「……あ、えっと……」
「話したくなければ言わなくていいよ。ただ、あたしはいつでも聞くからね」
「冬空、ありがとう……。うん、前に言ったずっと待ってる幼馴染が……春くんだよ……」
「やっぱり、覚えてたんだ」
「……お、覚えてるよ。忘れたことなんてない」
「じゃあ、なんで知らないなんて言ったの?
「だって……。なんか、春くんかっこよくなっちゃって緊張して喋れなくて……。それで、つい」
「ついって……。ちゃんと話した方がいいよ。そんな子供の時の約束守ってまで迎えきてくれる人なんてそういないんだから」
「そう……だよね。どうしよう。私態度悪すぎて呆れられちゃったらどうしよう…」
「大丈夫大丈夫。頑張って」
「うん……ありがとう」
 
 
 ***
 
 
 楓夏に話しかけるのをやめて、十日程たったある日のこと。
 
「(ふうちゃん、今日もかわいいな……。話しかけないように、頑張ろう……)」
 
 登校し席に着くなり、楓夏を一瞬見つめるとすぐに視線を逸らした。
 
「……あ、あの……」
「……え? ぼ、僕?
 
 隣の席に座る楓夏から話しかけられた春哉は自分が話しかけられたのが信じられなかったのか、周りをキョロキョロし、楓夏に問いかけた。
 
「……う、うん」
「ど、どうしたの?
 



 嬉しさと信じられない気持ちが入り交じり、楓夏を見ることが出来ない春哉であった。
 
「き、今日のほ、放課後……時間ありますか?
「今日は大丈夫だよ」
「……よかった。ありがとうございます」
 
 安心したのか、楓夏はふふっと微笑んだ。
 そんな楓夏を見た春哉の頬は赤く染まっていた。
 
 ──そして放課後。
 
 他の生徒は下校、または部活に行き教室には楓夏と春哉だけだ。
 
「あ、えっと……ごめんなさい!
 
 隣の席に座る幼馴染が意味もわからず謝罪し頭を下げた。
 春哉はとても困惑していた。
 
「えっと……とりあえず頭あげよ。ぼ、僕なんで謝られたの?
「ほ、本当は……は、春くんのこと覚えて……た」
 
 楓夏は俯きぼそぼそと話し始めた。
 
「え、え? 本当に覚えててくれたの?
「……うん、嘘ついてごめんね」
「全然! 僕忘れられたのかと思ってすごいショックだったんだ……。けど、覚えててくれたなららいいよ! ありがとう!
 
 春哉はニッと笑って見せた。
 
「あ、ありがとう……あ、こないだ顔……叩いちゃってごめんね。大丈夫……?
 
 楓夏はそう言いながら春哉の頬に手を伸ばした。



 
「だっ……大丈夫! 僕の方こそ……だ、抱きしめたりしてごめんね……」
 
 春哉は、楓夏の手が春哉の頬に触れる寸前で楓夏の手を取り止めた。
 
「あ、ごめんね。つい昔の癖で……」
 
 春哉に手を握られ、咄嗟に引っ込めた。
 
「……ほんとに、ふうちゃんだ。昔、僕が転んで怪我した時よくふうちゃんが手当てしてくれたね」
「うん! よく泣いてね。それで私が慰めてたね」
 
 楓夏は昔よりはるかに背が高くなった春哉の頭に手を伸ばした。
 背伸びをしぎりぎり手が頭に届き、ポンポンとした。
 
「大きくなったね。昔は私の方が高かったのに」
 
 と続けた。
 
「僕もう、転んでも泣かないよ。昔はふうちゃんに守って貰ってたけど……今度は僕が、守るからね」
 
 春哉は楓夏の右手に自分の左手を重ねた。
 
「あ……そうだよね。昔とは違う……うわっ!
「だ、大丈夫?
 
 手が重なり驚いたのか、楓夏はバランスを崩し倒れそうになった。
 春哉はそれを受け止め……思わず抱きしめた。
 
「……ごめん、大丈夫?
 
 抱きしめた楓夏の肩に手を置き引き離した春哉。



 
「……うん、大丈夫。ありがとう」
 
 そんな2人の頬は赤く染まっていた。
 
「……でも、全部が昔と違うわけじゃないよ」
「全部じゃ……ない?
「うん。昔した約束覚えてるかな? 僕は覚えてるよ」
「約束……あ、引越し……」
「あ、ごめん! 言わないで!
 
 約束の話をしようとした楓夏の言葉を春哉は遮った。
 
「ごめんね……」
 
 春哉は首を左右に振り否定すると続けた。
 
「……ふうちゃん。迎えにきたよ。僕……ふうちゃんが好きです。付き合ってください!
 
 春哉は頭を下げ、右手を楓夏に差し出した。
 
「……は、春くん。迎えに来てくれてありがとう。わ、私も春くんが好きです。よろしくお願いします!
 
 楓夏は春哉の手を握った。
 
「よろしくね」
 
 頭を上げた春哉はニッと笑い、握っている手に少し力を入れたのだった。
 
 
 
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