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- 第四話 異変 後編 - 酒場peaceでは―。 peaceの管理を任されているマテオはルーカスたちがラウリニアへ出発してから三十分程経ってから店じまいをしていた。それをダグとスジョンが手伝っていた。三人は仲良しトリオと呼ばれ三人揃えば同じ酒を同じ場所で飲んでいる。二人が手伝ってくれたおかげですぐに店を閉めることができた。マテオはpeaceの鍵を閉め、マテオの家に繋がっている外階段を上って行った。その姿をダグとスジョンが見送りそれぞれの家路についた。 ルーカスたちはまだ帰ってこないまま夜を越しマテオの目覚まし役であるスジョンは今日も朝早くからpeaceへ向かっていた。明るい朝だというのに薄暗い路地裏を通ってpeaceに向かうスジョンは遠目で見るpeaceがいつもと様子が違うことに気づき走ってpeaceの前にやってきた。 「なんだ…これ…」 唇を噛み、怒りを抑えながらマテオの元へ駆け上がって行った。ゆさゆさとマテオを揺らしなんとかして早く起こそうと試みるがマテオはなかなか起きない。無口でほとんど言葉を発さないスジョンが珍しく焦って起きろ起きろとマテオを揺らす。するとその声が聞こえたのかもぞもぞと布団からマテオが顔を出した。顔色の変化はないものの焦っているスジョンにマテオは飛び起きた。 「どうしたの?」 腕に手を添えて落ち着かせるように優しく物事を聞き出す。するとスジョンは何も言わずに部屋を出て行った。ついてこいと背中で訴え、スジョンの後を早足でついていくとスジョンの焦る理由が一瞬にして身体中に流れてきた。木でできているドアには赤や青などカラフルなペンキで大きく落書きされており壁にはなにかで削られたような傷があった。この有様に酷いの一言しか出てこなかった。 「鍵、壊れてる」 スジョンが鍵を壊されていることに気づき駆け足でドアに近づき勢いよくドアを開けた。そこに広がっていたのは外よりも酷い落書き、脚を壊されたテーブルやイス、おまけに酒樽や酒瓶が散乱していた。床は酒で水たまりができていた。このような有様に言葉が出てこなかった。突然なことにその場から動くことができないマテオとスジョンはゴクリと喉を鳴らした。唇をふるわしているマテオは爪が食い込むほどに拳に力を入れていた。そんな時後ろから声をかけられた。 「こ、これは…何があったのかな…?」 二人が後ろを振り向くとそこにいたのはダグだった。胸の前で指をせわしなく遊ばせひどく動揺していることがすぐわかった。俺たちにもわからないとマテオが呟くとダグは落ち着いた様子でそっかと小さく答えた。先程までうじうじとしていたダグだったがそれとは裏腹に落ち着きを取り戻しpeaceの中に足を踏み入れ、倒れている酒樽をひとつずつ起こし始めた。それでも完全に落ち着いているとは言えなかった。ショックを受けた顔で今にも泣きそうで涙を溜めているように見えたからだ。 「一体誰が…」 いつもはほとんど話さないスジョンがやはり動揺しているのかいつもより話していた。誰がこんなことを、どんな理由で、それはマテオもダグも思っていることだ。でも今はこのめちゃくちゃになった酒場を元に戻さなければ、そう思ったマテオはパンっと手を叩いて気持ちを切り替えるようにスジョンに言った。犯人探しはこの場所が落ち着いて過ごせる場所になったらしようと、そう決めてあたりに散らばった酒瓶の破片を拾った。それに続きスジョンも掃除道具入れからほうきとちりとりを持ってきて掃除を始めた。 しばらく休憩もせずに掃除を続けていると後からいつものpeaceのメンバーが集まってきた。みんなもショックだとぼやきながらも掃除に参加し、そのおかげで落書きは残っているものの散乱していた酒樽や酒瓶、酒で水たまりになっていた床、壊れたテーブルとイスをなんとか修復しほぼと言っていいほど元どおりになった。掃除をしたみんなでお疲れ様と残っていた酒で乾杯していた。その風景を微笑ましく眺めていたマテオにスジョンがなにかを持っていきそれを見せた。 「バラの花だね、落ちてたの?」 スジョンがマテオに見せたものは真っ黒なバラだった。落ちていたのかと聞くとコクリと頷いた。peaceには花に関心を持つ者がいないから花なんか一輪も飾りも植えもしなかった。これは犯人が意図的に置いていったものか、犯人の落し物かといったところだろうか。真っ黒なバラとあって少し不気味な雰囲気を出していたそれはスジョンが空いた酒瓶に水を入れそこに刺した。マテオは正直捨ててほしいと思っていたがスジョンが真剣な顔をして水の入った酒瓶に刺しているものだからなにも言えなかった。だがそんなスジョンも突然起こった出来事と真っ黒なバラに不思議な気持ちを抱いているのだった。 To be next scene…
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