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「お前は争いを呼ぶ魔女だ!」 若者達からそう呼ばれた。 「ロビンさん?大丈夫ですか?」 目の前で手を振られる。心配そうにロビンを覗き込む少年はヒナタといった。 「…ああ、すまない。前のことを思い出していた」 「前のこと?」 ヒナタは知らない、ロビンがロビンたる所以の話。 世界は崩壊した。大人達が好き勝手に戦争をし、土地を奪い合い、核や原子の爆弾を落とした。それまでは森に隠れてひっそりと過ごしてきた魔女だったが、これは見過ごせないと腰を上げたのだ。 世界の再構築。街としての復興。大人達による侵略からの防衛。ロビンは後者だった。あらゆる魔法に秀でたロビンは前線に出る役を買って出たのだ。 魔女としてのカリスマ性、魔法の強力さ、誰より冴える頭脳でロビンは重宝された。あらゆる争いの地に赴き、大人達と戦った。 頭が悪い大人達は、ロビンを陥れようとつけて回り、隙さえあれば争いを起こした。四六時中、肘をついて休む暇もなく、場所すらいとわず破壊が起きた。 どこにいても、どの街でも。戦いに巻き込まれた若者達は数知れない。命を危惧した若者達はロビンをこう呼んだ。 「争いを呼ぶ魔女」 だと。間違いではないのだ。ロビンのいるところで争いは起こる。 ロビンは若者達の為にと体力を削った気でいた。自分のやっていることは若者達の為だと思っていた。それも、間違った考えではないのだ。ロビンは正しかった。ただ、犠牲者の数と、疲弊した体と心にその呼称は突き刺さった。 その後長い間ロビンは身を隠した。時には獣に化けやりすごすこともあった。海を渡り、人ひとりいないような街に身を潜めた。 ロビンはその街を復興させ、ロビンを知らぬ人が増え、街は栄えた。攻撃手段は一切使わず、街の問題解決や環境整備に心血を注いだ。 それが今のロビンなのだ。衝突を避け、攻撃魔法は封印し、なるべく対話で解決しようとする。 目の前にいるヒナタを助けた時は攻撃魔法を使ったが。彼は五、六人の悪い大人達に身ぐるみをはがされそうになっていたのだ。 見つけた時はついカッとして。悪い大人達の被害に遭っている若者を見ると、何十年前もの記憶が蘇る。悪い大人達は倒すべきだと。 ロビンを見るヒナタの目に一寸の影もない。この子に訳を話しても状況が好転するわけでもない。 「なんでもない。切り抜けようか」 目の前に立ちはだかる、ロビンを魔女と知る柄の悪い大人達は手に武器を、ロープを、袋を持っている。 かつて前線で健闘していたロビンにとっては何ら問題ではない。ロビンは両手から雷を生み出した。道を往く人々の目がロビンに集まる。 「目を伏せていなさい」 気にする必要は無い。ただ子供の命を守りたいだけ。何百年も前からそれを信念として動いてきたのだ。ロビンは悪い大人達に向け、雷を手から放った。
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