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 とある大手家電系IT企業の部長が|部下《メンバー》たちに向って宣言しました。 ”この仕事が終わったら、長めの休暇を取って遊びに行こう”  メンバーたちは、部長の言葉が自分たちに向けられた言葉だと考えました。  この会社は、2-3日程度の休みなら部長決済で問題は無いのですが、4日を超えるような長期休暇は人事部に申請を出して許可をもらう事になっているのです。  この部署の仕事は、主に業務サポートで資料の整理や顧客対応だったのですが、この部長が来てから独自性が必要と言いだして、社内ツールの開発を行い始めたのです。  社内で使うツールの為に多少荒削りでも問題がなく、皆が喜んでいたのですが、社内ツールを販売する話しが持ち上がって、部長が了承してしまったのです。業務サポートの部署が開発を行いながらツールのビルドアップを行っていくのです。  2ヶ月間休みが殆ど無い状況で、一日20時間の勤務になる事も有りました。  メンバーの多大なる犠牲の上に、ツールは完成して無事にリリースとなったのです。  2ヶ月の過酷な労働と過大は残業時間。懐も温まるし、会社も新しい武器を手に入れて、賞与の増額をトップが約束したのです。  家族持ちのメンバーももちろんいました。  2ヶ月後に休みがもらえたら旅行に連れて行くと約束している人たちも多く居たのです。  メンバーは、人事部に部長の承認済みとして、長期休暇の申請を出すことにしたのです。  重ならないようにメンバー間で調整をして提出したので、許可はもらえると素直に信じていたのです。  数日後、メンバーの下に長期休暇が却下された旨の連絡が届きました。  メンバー全員です。  メンバーたちは憤慨します。  部長が承認してくれている事を、人事部が却下するのかと、リーダーが人事部に殴り込みに行ったのです。規則上は、長期休みの場合には部長の許可は必要なく人事部の判断に委ねられます。  人事部はそう答えるしかありません。  メンバーも部長に連絡をとろうとしているのですが、連絡が返ってくる事はありませんでした。  翌日、メンバーは再度人事部に連絡を取り、成り行きを説明したのです。  人事部は慌てました、自分たちが聞いている話と違ったのです。  人事部の部長も出てきて、情報のすり合わせが行われました。  メンバーが聞かされたのは、恐ろしい話でした。  部長は、1ヶ月の長期休暇に入っている。海外に行くと言っていた、会社としては認められなかったのだが、”部署のメンバーが残るので大丈夫です”と告げていたようなのです。  人事部の部長から”部長が長期休暇の最中は、部署は人事部預かり”となると説明されました。  話を聞いた人事部の部長は、メンバーに順番に3-4日の休暇を与える事にしたようです。  業務サポートを止めるわけには行きません。  販売を始めたツールのサポートも新たな業務として追加されます。メンテナンスもしなければなりませんし、追加機能の要望に対する返答を行う必要も有ったのです。  1ヶ月後に、部長が出社してきました。  リーダーが部長と話をはじめました。個室に移動しようとする部長を呼び止めて、メンバーの前で人事部の人間がいる状況で部長に見解を聞く事にしたのです。 「部長。長期休暇。お疲れ様でした」 「おっおぉ」 「それで、なぜ私たちの長期休暇の申請が却下されたのか、教えていただきたい」 「俺が知るわけが無いだろう?人事部に聞けよ」 「部長は、システムのカットオーバー前に長期休暇の申請をされていますが?」 「当然だろう?予定が有ったのだからな?」 「それはわかりました、それでは、なぜ私たちの休暇の申請をしてくださらなかったのですか?人事部に話を通していただけるはずでしたよね?」 「はぁ?何を言っている。俺は、そんな事は言っていない?」 「いいえ、おっしゃいました。部長は、”この仕事が終わったら、長めの休暇を取って遊びに行こう”と皆に約束されました」 「あぁしたぞ?俺が休むのに、なぜおまえたちの休暇申請を俺がしなければならない?」 「え?」 「もしかして、俺の独り言を自分たちの休暇と勘違いしたのか?」  ここでリーダーたちは察したのです。  部長が自分の休みを優先したのだと…。言ってくれれば、リーダーたちも反対しませんでした。相談して順番に休めばいいだけなのです。こんな騙すような事に腹を立てているのです。  この会社の人事部も馬鹿ではありません。  部署で上司と|部下《メンバー》の休暇申請が重なった時には、|部下《メンバー》の休暇申請を優先します。  リーダーたちもそれがわかっているので、部長が休むときには自分たちが残ればいいと考えていました。スケジュールを調整して、リーダー同士でも休暇が重ならないように調整したのです。  それを、部長が休んだ。それも、1ヶ月に及ぶ長期休暇で海外に行くので連絡もできないと言われてしまえば、部署を預かる事になった人事部もリーダーの長期休暇を許可する事ができないのは当然の事です。業務が滞る事を恐れて、メンバーの休暇も却下するsか無いのです。 「わかりました」 「そうだ!今日、専務からツールのアップデートを頼まれて承諾しておいた。良かったな!頼むぞ!」 「え?部長が勝手にやってください。私は、来月付で辞職します。今まで有難うございました。明日から、貯まりに貯まった振替休日と有給休暇を使って2ヶ月の休暇に入ります。あっ私以外のメンバー全員です。それでは!」  辞職時の休暇は、申請すれば必ず許可されます。  そうしないと、有給を会社が買い取る事になるためです。辞職も本人の意思が優先されます。部長が交渉する事はできますが、止める事はできません。  リーダーは踵を返して、自分の席に戻って、自分の荷物をまとめて立ち上がって、タイムカードを切ったのです。  部署のメンバーもそれに倣います。その場所に居た人事部のリーダーが、事の顛末を人事部の部長も報告します。  翌日、部長を除くメンバー全員が会社に呼び出されます。  リーダーとメンバーは、人事部と話を付けていたのです。辞職を留意する条件を提示する|会議《茶番劇》が行われたのです。  メンバー達の要望は2つ。 ・部長の交代 ・業務サポートか社内ツールサポートかどちらか一つにする事  会社は、部長の交代を呑みました。  もう一つの方は部署の人員を大幅に補充する事でリーダーとメンバーは承諾しました。人員が増えるまでは、社内ツールのサポートを優先する事になったのです。  その後、部長にとって都合が悪い事が捲れてきます。  社内ツールの販売は、当初は他の部署から持ちかけられた事になっていましたが、部長が自らの点数稼ぎの為に売り込んでいた事が判明したのです。そこまでは良かったのですが、部長はソース一式を持ち出して他の会社にも話を持ちかけていたのです。背任行為です。  それだけではなく、|部下《メンバー》が使わなかった保養所の利用権を|部下《メンバー》に黙って申請して使っていたのです。  他にも、セコい事のオンパレードです部署で使っていないパソコンのパーツや文房具が経費となっていたり、|部下《メンバー》と行った事になっている昼飯の領収書が多数出てきたりもしました。  金額的には微々たるものでしたし、部長が全額返却したので刑事事件にはならなかったようです。  しかし、部長の下では仕事ができない事が判明してしまって、新しく|部下《メンバー》を投入する事もできなくなってしまったのです。会社は、部長の1人部署を作成して飼い殺しにする事にしたようです。  私が知っているのは、ここまでです。  その後がどうなったのかは解りません。その部長が幸せに過ごしていることを、部長の信じる神と|部下《メンバー》たちが信じる悪魔に祈ることにしましょう。
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