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「今日からこの学校に入学するのね。」  私、『セシル・ミラワルト』は『テンジア王立貴族学院』の校門の前に立っていた。  この学院はテンジア国にいる貴族全員が入学を義務づけられている学院で、礼儀作法や教養を身につける為の学校である。  かくいう私も名家と言われているミラワルト公爵家の一人として、この国の王太子の婚約者としてこの学校で結果を残さないといけない。 「気合いを入れて頑張りましょう。」  そう決意して私は校門を潜ろうとした。  その瞬間、突然私の脳内にある映像が浮かんだ。 『セシル・ミラワルト! お前との婚約を破棄し『ミルザ・シューミル』との婚約を宣言する!』 『なんて言う事をやってくれたんだっ! お前はもうミラワルト家の人間ではない!!』 『なんでっ!? 私は何もやっていないのになんで処刑されなきゃいけないのっ!?』 「・・・・・・はっ!?」  突然、脳内に浮かんだ映像に私の足は止まった。 「い、今の映像って・・・・・・。」  私が王太子様から婚約破棄を告げられ、親から勘当され、私が処刑される・・・・・・。 「この学院に入ったら私はあんな目に遭うの・・・・・・?」  リアルな映像に冷や汗が止まらず私は気持ちが悪かった。 (そんな目に遭うなんて真っ平ごめんだわっ!!)  気が付いた時には私は校門に背を向けて走っていた。  この場所から一刻も早く逃げ出したかった。  走った私は公園のベンチに座っていた。 「はぁはぁ・・・・・・。」  時計を見たら既に入学式は始まっている。 「私、入学生代表としてスピーチしなきゃいけなかったのよね・・・・・・。」  自分がとんでもない事をしてしまった事はわかっている。  多分、今頃大騒ぎになっているのもわかっている。  でも、私にはあの映像が私に将来起こる出来事なんだ、とわかった。  これは本能であり理論的に説明出来る事ではない。 「このまま学生服のままでは目立つわね・・・・・・。」  寮に持っていく筈だった手荷物が入ったトランクの中を確認してみた。  大体の荷物は事前に寮に送ってあり私が持っていたのは部屋着とか社交界に着ていくドレスとか宝石とかそういう物ばかり。 「必要の無い物ばかりね・・・・・・。」  この時、私は既に決意していた。  もう家には戻れないし貴族社会にも戻れない。  いっその事、平民になって一人で生きていこう。  よくよく考えてみたら貴族令嬢として生きてきて良い事なんて無かった。  特に王太子様の婚約者になってからは王妃教育を受けたり自分の時間なんて無かった。  それでも家の為に頑張ってきたのに、その結末が婚約破棄、勘当、処刑?  冗談じゃない!  そうなるんだったら貴族なんて捨ててやるわ!  これからは只のセシルとして生きる事を決意した。       
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