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「七瀬ちゃんが、捕まった、だって……」  ソレイユ家から伝令がが来た。  文にはこう書かれている――明後日、香月七瀬を処すると。  身代金は要らない、七瀬がそれを拒否をしているという。 「ダニエル様、どうされますか?」 「少し、ソレイユ家領へ行って来るよ」  ダニエルは専属の騎士達の制止も聞かず、ソレイユ領に向かった。  七瀬はソレイユ領牢屋にいた。  いずれ、自分の身が危ぶまれるとは思っていたが、シュヴァルツ王国復活がもうすぐ果たされるというのに、それも見れず、終わってしまうのか。  せめて、最後にダニエルの顔だけでも見たいが、それももう、果たされない願いだろう――そう思っていたのに。 「香月七瀬、面会だ」 「誰、なん?」 「さあ。素性は明らかにしていない」  一体、誰であろう。七瀬は面会の部屋へ向かった。 「あ、あんさんは……、なんで……」  七瀬は面会の部屋へ行くや、待ち人に驚きを隠せない。  変装はしていたが、灰青のオッドアイなど珍しくてすぐ分かった――ダニエルだ。 「七瀬ちゃん」 「すまん。うち、こんな事になって……」  ダニエルだけには迷惑を掛けたくなかったのに、迂闊だったと七瀬は思う。 「君を守らせてくれないかい?」 「何言っとるん、うちなんかの為にあんさんを危険な目に遭わす事だけは嫌なんや。うちの、わがまま、聞いてくれる?」 「それも、出来ないなんて……僕は君のために何をしてあげた? 僕の手となって、足となってくれた君に……」 「信頼を、くれただけでええんや……それだけで、うちは報われる」 「でも……」  ダニエルは何としてでも、七瀬をここから連れ出したかった。  今すぐにでも、ここから連れ出したいのに、それも出来ない――大事な七瀬をこんな目に遭わせたのは自分なのに 「ダニエル様、あんさんは、光になってもええって思ったけど違う。あんたは闇でええ。だってエレン姫様が光輝くには、闇の存在が必要や」 「七瀬ちゃん……」 「ダニエル様、どうかあんたは、エレン姫様が治める国を一緒に支えていってな」  七瀬はそれだけ言うと、涙を零した――本当は、自分もそれを見守りたかったのに  そんな七瀬を見て、ダニエルは胸を打たれた。  側にいるのは、君で無ければ嫌なのに――ダニエルは七瀬の頬に伝う涙を拭いた。  そして、そっと唇を重ねる――深く口付けした。その行動に、七瀬は驚きを隠せない。 [*label_img*] 「ダニエル様……?」 「あの前の答え、これが僕の答えだよ」  七瀬がエレン姫との婚約前のダニエルに好意を告げた、あの時の答えだ。 「そんな、ダニエル様……、あかんわ。未練なんて無かったのに、捨てたのに……この世に未練が出来てしもうたわ。ずるいわあ、ダニエル様」  七瀬はそう言うと、ダニエルに抱きしめられる。強く、強く、壊れるほど――離れたくないという一心で。 「あんたなら大丈夫や。やから、ちゃんと、闇となってエレン姫様を支えるんやで……」  無情にも面会終了の時間がやって来た。  別れの時間がやって来る――七瀬はダニエルに悲しく笑ってその場を去った。  ダニエルはその様子を静かに泣きながら、見届けた。  香月七瀬、十六歳の若きツツジの花はそっと散っていった。  ダニエルの花になり続けた七瀬は笑顔で、この世を去ったのだった。  シュヴァルツ王国軍は、レオンの作った武器――銃の訓練を受け、無事、軍の革命を起こした。  これなら、あのノールオリゾン国の技術にも打ち勝てるだろう。  いよいよ、ノールオリゾン国に奪われた大地を取り戻す為の戦いが始まる。  その戦には、シュヴァルツ王国軍やツツジの里の兵、そして何より、エレン姫達の姿があった。  エレンはウィルに聞かされた事を心に得てから、シュヴァルツ王国の民と共に戦おうと決意したのだ。  実際には戦いはしないが、少しでも軍を鼓舞し続ける存在でありたいと、エレンは思っていた。  出兵の時間。  エレンは、集まった兵達に告げる。 「皆さん、今まで、私と父の為、尽力して頂きありがとうございます。今までは、私は皆さんのお荷物でしかありませんでした。だけど、これからは、私も皆さんと共に戦いたい、そう思っています」  そして、エレンは一息吐き、兵達にこう伝えた。 「皆、必ずや、シュヴァルツ王国を取り戻しますよ!」  すると、皆は勝利を祈り、雄叫びを上げる。  その兵達の姿を見て、エレンはとても誇りだと思ったのだった。  こうして、シュヴァルツ王国の土地を取り戻す戦いが始まる。  一方、ノールオリゾン国も、出兵の準備が行われていた。  先日、相棒のニコラを亡くしたばかりのアレックは、気持ちが有耶無耶になりそうだった。  罵声を浴びせてくる相棒はもういない。  相棒がいない今、自分だけで、事をなし得る事が出来るのだろうか。  そっと、側で恐らく人質にされるセレナを見た。  セレナの目は真っ直ぐを向いていた。ただ前を向いていた。 「アレック、一緒、戦う」 「セレナちゃん……、そうだね。俺は戦わなきゃならないんだ」  セレナを守る為に、アレックは亡き友に誓う――もう、後ろは向かない。  ただ、彼女の思いを守る為に。  こうして、シュヴァルツ王国軍とノールオリゾン国軍の戦いの火蓋が上がった。  ノールオリゾン国軍は、勝利すると信じて戦った――が、シュヴァルツ王国軍の新しい技術に苦戦をしていた。  王・フェルナンドは苛立ちを隠せなかった。  何か、シュヴァルツ王国軍の士気を下げれないものか――シュヴァルツ王国軍の勢いは、首都を陥落させようとする勢いだ。 「セレナ姫、お前を人質とする」  フェルナンドはそう言い、セレナを人質に、シュヴァルツ王国軍に文を送った。 「お姉様が、人質に?」  シュヴァルツ王国軍陣営で、エレンの悲しい声が告げられる。 「ええ。セレナ姫の命と引き替えに、占拠している都市から軍を引いて欲しいとの事です」  ウィルは、エレンに人質解放の条件を告げる。  今、シュヴァルツ王国軍は勢いが良い――もし、こんな事になれば、軍の士気が下がるだろう。  仮初めの姫の為に、そんな事は出来ないと、ウィルは告げる。  もともとセレナは、エレンの替え玉だったのだ。 「ええ。お姉様を、諦めるしかありません……」 「エレン姫様……」  側にいたフェイはエレンの決意を知った。  例え、セレナ姫と言っても、どんなに似たとしても、彼女はロボットにしかない。  命無きロボットを守るなど、この国の上に立つ者としてあってはいけないだろう。  この国の上に立つには、綺麗な事も汚い事も知っていかなければならないのだ。  フェイもウィルも、エレンも、セレナを見捨てる決意をした。 「人質を、殺す、だって……?」  アレックは兵達の話でそれを知った。  最前線で戦っていたアレックは、焦りを感じていた。  このままでは、セレナが殺される――それだけは、それだけは、避けなければ。  アレックはセレナのいる陣営まで、急いで向かった。  アレックが来た時、セレナは壊される寸前だった。 「アレック、来ちゃ、駄目……」  セレナは、アレックを確認すると、そう告げる。  だが、アレックはフェルナンドに懇願する。 「フェルナンド様、セレナを、セレナを殺さないで下さい! どうか、命だけでも……」 「ふん、所詮、セレナ姫など、仮初めの姫でしかないのだ」  そう、フェルナンドは吐き捨てる。  仮初めの姫――セレナの存在を否定するその言葉に、アレックは狼狽える。  やがて、フェルナンドの命によってセレナは壊されていく。 [*label_img*] 「セレナちゃん、セレナ……くそうっ……!」 「アレック、ありがと……、一緒に、いれて、幸せ、だった……」  そして、最後に一言、セレナはアレックに告げる。 「アレック、エレン、姫、助けて……」 「セレナ――――くそうっ!!」  自分は一体、何をしてきた。  親友を亡くし、守るべき存在も亡くし、まるで、それが自分の存在まで否定されるように思えてくる。  自分の行動は、正しかったのだろうか。  自分の行動は、意味のあるものだったのだろうか。  アレックは既に体をバラバラにされたセレナを抱きしめ、告げる。 「俺は、意味のある物になる。セレナちゃんの為、ニコラ君の為、俺は……」  ならば、答えは一つだ。  それすら、否定し、生き続ける――セレナの最後の願いを無駄にはしない。  アレックは立ち上がった。  シュヴァルツ王国軍陣営。  勝利はもうすぐ手に入れられる――エレンはそう、騎士団長のセシルから聞いた。  ようやく、自分の王国を取り戻せる。  エレンはその実感を、少しずつ、少しずつ手に入れる感覚を得る。  その為に、亡き姉と似たロボット――セレナを失わなくてはならなかった。  それだけが、胸の奥を痛ませる出来事だった。  国の為とは言え――エレンは心の中で嘆いた。  ウィルとセシルは話があるからと言い、その場を離れた。  護衛兵のフェイのみがエレンの側にいる。  それが、命拾いとなった。  突如、ノールオリゾン国軍数人がエレン姫達を囲む。  いきなりの事に、エレンは驚き、フェイは剣を咄嗟に抜く。 「一体、エレン姫様に何のご用で……」  このままでは、エレンを守り切れないだろう。  フェイは、そう自負し、エレンを守ろうとした。  しかし、エレンを殺す為に来たと思われたが、ノールオリゾン国の目的は別にあった。  兵達はフェイを取り押さえる。 「フェイ・ローレンス……、彼をどうするつもりですか?」 「エレン姫様、貴方直々に、ノールオリゾン国城まで来て、降伏の宣言をして下さい。来なければ、この者の命は無いですよ」  無茶苦茶だ――エレンもフェイもそう思った。  勝ち戦なのに、負けを宣言するなど、我が軍の頑張りを裏切るに等しい行為――そんな事は出来ない。  ならば、フェイを見捨てる――それも、エレンは出来ずにいた。 「明日の午後一二時までに、ノールオリゾン国城まで来て下さい」 「エレン姫様、どうか私など、気にせず、我が軍を勝利に導いて下さい」  フェイはエレンを見据え、そう告げる。エレンを守る為なら、命など要らない――フェイはそう思った。  フェイはそれだけ言うと、ノールオリゾン国兵に連れて行かれたのだった。  暫くすると、ウィルとセシルがやって来る。弟のフェイがいない事に、ウィルは焦りを感じていた。 「エレン姫様、どうしましょう……」  二人が焦り、セシルがエレンに答えを問うと、エレンは胸が苦しくなり、泣き始めた。  その時だった。 「奇襲作戦でもやろうか、エレン姫様?」  そう言い、姿を現したのは、アレックだった。  かつての仲間――ウィルはアレックがノールオリゾン国兵の姿で現れた事に驚いたが、相手は敵兵だ。  威嚇するように、睨み付ける。 「奇襲作戦、とは?」 「エレン姫様にまずは来て頂いて、フェイ君を解放する。そして、そのまま、ノールオリゾン国王・フェルナンドの首を取る。それだけだよ」  セシルが尋ねると、アレックは自分が考えた作戦を告げる。  エレンはその作戦で、フェイが助かるなら――決意した。 「分かりました。その作戦で行きましょう」 「エレン姫様、正気ですか? 相手はかつての仲間とはいえ、敵ですよ。裏切られる可能性が……」 「ウィル様、俺は、もう、自分のことを意味の無いように思わない。だからこそ、必ずや、エレン姫様にはセレナ姫の願いを叶えて欲しいと思ってる」  アレックの真っ直ぐな目に、ウィルはアレックの真意を見た。  彼は、自分達を助けるために、わざわざ寝返ったのだ――意味が無い存在ではない。  ならば、その心意気を、認めるのが、この国の両腕である自分の役割だ。 「分かりました。アレック、貴方を信じましょう」 「ありがとうね、ウィル様。ならば決まり、急いで行こう」  そう言い、エレンはアレックと共にフェイを解放する為、ノールオリゾン国城へ向かった。  午後一二時。  いよいよ、タイムリミットはやって来る。フェイはそう察した。  エレンには、自分など見捨てて、勝利し、国を治めて欲しい。そう思っていた。  やがて、フェイの首に刃が宛がわれる。  そろそろ、自分は故郷でも無い地で殺される。  思えば、自分の命を、エレンを守る事に費やしたかった人生だった。  それは、果たされようとしているのだろうか――フェイは目を瞑り、死を覚悟した。  その時だ。 「今すぐ、フェイ・ローレンスを解放しなさい」  現れたのは、エレンとアレックだった。  エレンはフェイの前に立ち、彼を守った。 「エレン、どうして、俺を……」 「思うのです。私は、国を担う者――側にいる者を守れなくては、それは出来ないと」  一番側にいてくれた人を守れなくて、自分は王女として勤まるのだろうか。  エレンはフェルナンドを睨み付け、告げる。  負けを、認めるか――誰もが、そう思った時だった。  アレックはフェイの手首に巻き付けられている縄を剣で解く――晴れて、フェイは自由の身になった。 「我が軍は勝利します。皆、かかるのです!」 [*label_img*]  エレンがそう言うと、ぞくぞくシュヴァルツ王国軍がノールオリゾン国城を占拠していく。  まずい状態になった。守りの兵は何処へ行ったか、フェルナンドの近くから逃げ出している。  その慌てふためいている様子を、フェイも、アレックも見逃さない。  フェイは落ちてる剣を拾い、フェルナンドの首を斬った。  アレックも、同じように、フェルナンドの体を切り刻む――フェルナンドは絶命した。  こうして、ノールオリゾン国との戦争は勝利に終わった。  エレンは、ノールオリゾン国から奪われたシュヴァルツ王国の大地を取り戻したのだった。  先のノールオリゾン国との戦争から幾日か。  シュヴァルツ王国は無事、ノールオリゾン国から領土を取り返したのだ。  シュヴァルツ王国の勝利に、皆は心から喜んだ。 「シュヴァルツ王国が無事、元に戻るわね。これも、ラルフやレオンのおかげかしら?」 「えー、俺様の武器製造の技術が無けりゃ、シュヴァルツ王国は負けてたぜ?」 「まあ、お前のおかげでもあるし、俺のおかげでもある。レオン、独り占めは良くない」 「えー、なんだよ、ラルフのケチ!」 「ケチなのはレオンだろ、全く……」  勝利したのは、この国が勝利のため祈り続けた――その事も忘れてはいけない。 「ジュリア、どうしたんだ?」 「いや、ちょっとね……少し、弟の所へ行ってくるわ」 「弟? 弟なんているのか?」 「ええ。邪教の神子だけど、生き別れの……あんな風に死んで、可哀想だから」  そう言い、ジュリアはユウの墓のある場所へ向かった。  ユウ・アレンゼ、ジュリア・アレンゼは、生き別れた姉弟だ。  修道院の方針が嫌になりジュリアは抜け出した。そこで、レオン達に出会ったのだ。  ジュリアは弟である神子・ユウに祈りを捧げた。  邪教の神子、ユウの命の灯火は潰えたが、まだ確かに祈りはあるのだ。  セシルと再び暮らし始めて、幾日か経った。  アリスは今、最愛の人物であるセシルと二人の子供と忙しい日を過ごしている。 「セシルさん、そうじゃないです! ミルクは、こうやってこうしてあげるんですよ!」 「悪い、アリス……何分、子育ては慣れてないのだ」 「セシルさん、貴方は、買い物へ行ってきて下さい」 「アリス、私はこの子達の面倒を見たいのだ。買い物なんかより、子供の面倒を……」  そう言い、セシルは慣れない手付きで、子供をあやしていく。  そんな子煩悩な父親を見て、アリスは思う。  やはり、この人と一緒に暮らす事が出来て良かった――今はその幸せを享受しよう。  そう、アリスは、セシルに、二人の子供に誓いを立てた。 「つまり、ソレイユ家とグローヴァー家は、我々に付くと……」 「その通りですわ」 「一度失った信用を、取り戻す所存です」  エレン達の元に、ルイスとエイミーが謁見を申し出た。  ソレイユ家とグローヴァー家が、エレン姫に忠誠を誓うというものだった。 「分かりました。それを認めましょう」 「エレン姫様、この者達は我々を……」  ウィルはエレンを制止したが、エレンの言葉も意味が分かる気がした。  ウィルは思うのだ――エレンはこれから先慈悲深い王女になっていくだろう。 「もう一度、もう一度だけ、チャンスをあげます。どうか、私に忠誠を誓って下さい。貴方達を信じます」 「有り難き、幸せですわ……!」  こうして、シュヴァルツ王国三大貴族として、ソレイユ家とグローヴァー家は道を歩んでいく。  全ては、領民のため、自分を守って死んでいった者の為――生き残る為、歩んでいく。 「真理奈姫様、どうやら、シュヴァルツ三大貴族が復活するらしいです」 「そうですか。それはシュヴァルツ王国にとって良いことですね」  ツツジの里の復興が終わり、一息を吐いてた時、真理奈はカイから報告を受けた。 「それより、カイ様……、そろそろ、一緒になりませんか?」 「え、それは、どういう意味でしょう?」  真理奈の結婚の申し出とも取れる申し出に、カイは照れていた――その時だ。 「お前との結婚は認めぬ!」 「って、玲様。いたんですか?」 「兄様、私もいい加減、いい歳です。結婚を認めて下さい」 「可愛い真理奈を嫁には出さぬぞ?」 「兄様!」  玲もどうやら、アニタの死を乗り越える事が出来た。  真理奈は思う――この先、きっと、上手く行く。  自分達は、シュヴァルツ王国の忠義を守って行こう――そう誓った。 「七瀬ちゃん、無事、シュヴァルツ王国は再建されたよ。僕の、君の願いが叶った」  ダニエルは七瀬の眠る墓へ来ていた。  ダニエルはそっと、ツツジの里に咲く花を供える。  最愛の相棒である七瀬は今、どう思っているのだろう。  きっと、それを喜んでいてくれると信じて。 「僕は誓うよ。エレン姫様の闇になる。それが、僕の使命だ」  これから先、きっとまた、シュヴァルツ王国を揺るがす事が起こるだろう。  歴史とはそういう物だ。歴史は奪い奪われ、紡がれていくのだ。 「君はそっと、僕を見守ってて欲しい。僕一人じゃ、やっぱり何も出来ないけどね。それでも、シュヴァルツ王国の為頑張るつもりだよ」  そう言い、ダニエルは最愛の相棒である七瀬に祈った。 「セレナ姫、ニコラ、俺は意味があったんだって今では思う。大事な二人を亡くしたけど」  アレックはシュヴァルツ王国が見渡せる丘の上に来ていた。  ここから見える景色は、とても綺麗だ――エレン姫の国が戻ってきた。  それは、シュヴァルツ王国の為に死んでいった二人の願いでもある。  そっと、アレックは空を仰いだ――空は微笑んでいる。  セレナ姫、セレナとの思い出が、ニコラの罵声が、思い起こされ、自分を鼓舞する。 「そうだね。セレナちゃん、ニコラ君……俺は、生きるよ。生きて、生きて、この国を守る」  自分はこれからも、シュヴァルツ王国の為、歩いて行こう。  アレックはその後、剣の腕を買われ、シュヴァルツ王国軍に入隊した。 「この国に、再び、災難は起こるんだな。でも、それも、乗り越えていく事が出来るんだな」  見事、エレン姫の国の再建は果たされた。  そう予言し、実現出来たのは、きっとエレン達や、エレン姫を思う者達のおかげだ。 「ニコラ殿、ワタシは、真実で有り続けるんだな」  それが、予言者であるエルマの、使命だ。  そよ風が、頬を撫でる。  エレンはそっと呼吸し、無事、シュヴァルツ王国の大地を踏みしめる。 「フーくん、これからも、私の騎士であって下さい」 「ああ、エレン。この国の為に、お前の為に、俺はあり続ける」  エレンとフェイは誓う。  この国を、これから先もずっとずっと皆で守って行こう。  それが、この国の再建を果たした者の勤めだ。  こうして、エレンのフェイの国再建の物語は、幕を閉じる。  歴史は紡がれ、これから先を生きていくだろう。 [*label_img*]
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