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こんにちは。私は《小咲梨彩|こ さきり あ》です。 普通の家庭に生まれた普通の女子中学生です。 私には高校生の兄がいます。頭もキレてそこそこ顔もいいです。でも、大きな欠点がひとつあります。それは、極度な「潔癖症」なのです。 これからの物語はそんな私の兄、《小咲悠真|こ さきゆうま》の物語です。 「おーい!ゆうまー!」 今日も聞こえる平凡な声。 「なんだよ、あきらー。」 その声の主、《鳥居明|とりい あきら》は俺の親友だ。小さい時から親も仲が良く小さい頃からいつも遊んでいた。 いわゆる幼馴染みというやつだ。明とは普通に接触しあえるくらい仲がいい。 「ゆうまー?まだ潔癖症治らないのかなー?そこそこいい顔してんのにもったいねーぞ!」 そう言っていつものように俺を潔癖症のことでイジってくる。おまけにバシバシ叩いてくる 「うるせーな!そんな簡単には治んねえってーの!」 そう言って今日もいつものように返す。 そんな日常がずっと続いていく。そう思っていた。 今日の帰りは明が部活のため1人で帰ることになった。 その帰り道、俺は気づかなかったが1人のおばあさんが近づいてきた。 「奥村って人の家を知っているかね?」 俺の肩に手をやり訪ねてきた。俺はびっくりした。 その肩に感じるのは生暖かい人の感触。俺は無意識に飛び逃げた。 その行動は相手を怒らせるほど失礼だったと自覚した。するとそのおばあさんは言った。 「じゃあ…あんたでいいわ。」 「はぁ?」 俺は意味が分からず考え込んでいた。 「こういうことだよ」 ッ!! 瞬間、周りが真っ暗な闇に包まれた。 目の前にはおばあさんしか見えない。 そのおばあさんはなにかボソボソつぶやいて手のひらから緑色の炎を出しこっちへ投げつけてきた。 特に速いということではないが突然過ぎて回避出来ずに当たってしまった。そのまま俺の記憶は闇へと沈んだ。 「…さん!」 「………」 「…いさん!」 「………」 「兄さん!!」 「りあ?」 俺は目覚めた。 「どうしたの?フラフラ家に入ってきてはぶっ倒れて!」 俺はそんなことをしていたのか?記憶はないがそうだったらしい。 「梨彩、もう大丈夫だ。迷惑かけて悪かった。」 「あーよかった!兄さんに何かあったらどうしようかと思ったよ!そーいえば兄さんカラコン始めたんだね。」 あやかはそう言って部屋から出ていった。 …………ん? カラコンって何のことだ?そう思った俺は洗面所へ向かった。 へ?なに?この目?その目はドス黒い赤色をしていた。 俺は唖然となりポッカリと口を開けた。 ッ!! なんだこの口?! 口を開けて早速見つけたものは…………鋭く尖ったキバだ。 赤い目に尖ったキバ。最初に頭に浮かんだのは 「吸血鬼……」 俺はまた倒れた。 そしてさっきのようにまた妹の梨彩にと同じやりとりをした。 思い当たることは特にない。あるといえば夢として切り捨てていたあの出来事だ。 そう、おばあさんとの不思議な出来事。 それしかないと思った俺はおばあさんと出会ったところへ戻ってきた。 だがやはりいつも通り普通だ。 おばあさんを探しだすしかないらしい。 近所を駆け回った。3時間くらいだろうか。 そこでもう一つ思い出したのがおばあさんと関わったきっかけだ。 奥村………。 俺はこれまで無いほどのスピードで1つの場所へ向かった。 「菜々ッ!!」 「………………どした?そんなにあわてて」 行っている学校は違うがこいつが明ともう1人の幼馴染みである《奥村奈々|おくむらな な》だ。 恥ずかしい話、俺が他人で触れることができるのは明と菜々くらいである。 「あれー?ゆ悠真ったら私に会いたくなっちゃったのかなー?」 「待ってくれ!突然来たのは悪いけど、今はそんなこと話してる場合じゃない!」 「ちぇっ、つまんないのー。じゃあご要件は?」 俺がこんなに慌ててるのにいつも通りのマイペース。 彼女は性格が明るく結構男にモテるらしい。実は俺も前から菜々のことが…… 「少し前におまえの家におばあさんが来なかったか!?」 「んー?そんな人はうちには来てないけど?」 いつものマイペースで菜々が答える。 「そうか、いきなりごめんな、ありがとう」 そう言って菜々の家から離れようとした途端。 「悠真、なにか困ったことでもあるの?」 菜々は普段、あまり考えごとをしているようには見えないが人の感情を察するのがとてつもなく早い。 でも菜々にはこんなことは言いたくない。 「いや、何でもないよ。心配してくれてありがとう。じゃあ俺は帰るから…」 「まって、それ。悠真のいつもの悪い癖。何かあるなら私に相談して?」 ギュッと俺の服の裾を掴んで言った。それも普段とは裏腹に真剣な眼差しで。 明日、明に相談しようと思ったが、明に相談したら爆笑されて信じてもらえないのが目に見えてきた。だったら… 「ありがとう。じゃあ聞いて欲しいことがある。少し聞いてくれ。」 こうして俺は彼女の家に入っていった。 菜々の部屋で学校の帰りの出来事を話した。 おばあさんに出会ったこと、家で倒れたこと、そして、吸血鬼になったこと。 俺は目を大きく見開いて赤黒く光った目をみせ、口を開け鋭い牙がついた歯を見せた。 「こんなことって、あるんだね…」 菜々は明らかに動揺しつつも真実を受け止めてくれた。 「これからどうするの?そんな牙人に見られたらおそらくタダじゃ済まないよ…」 真剣に自分のことを考えてくれているのを見て俺は正直ホッとした。 もっと驚いて逃げてしまうほどだったらどうしようかと思っていた。 「んで、そのおばあさんって私の家に用があるって言ってたの?」 「そこは正直俺もわからない。でもたしかにお前ん家を聞かれた。ここら辺で奥村といったらお前しかいないしな。」 「うん。そうだね…」 自分の気も紛らわせたいと色々な話をしていたが、彼女はとても深刻そうに悩んでくれていた。 そんな様子を見て少し嫌気が差してきた。もう2時間近くになってしまう。 「じゃあ俺はそろそろ帰るよ。長居してごめん。聞いてくれてありがとう。」 「あっ、もうこんな時間か!こっちも無理やり聞こうとしてごめんね。」 そうして、菜々が玄関まで見送りをしてくれた。 「悠真、何かあったらすぐ連絡して。バイバイ。」 「うん、ありがとう。じゃあね」 別れの言葉を告げて俺は家に帰った。
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