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「ほれ、終わったぞ」  人気のない工場に、老人の声が響く。 「ああ、博士。いつもありがとな」  シンはしゃがれ声の老人に言う。O型アーティーとの戦闘後、シンは都内某所の研究施設兼、部品工場に来ていた。戦闘で得たレアなパーツを見てもらうためだ。  それから、この白いひげがよく似合う老人は、菊間博士。シンの最も信頼する人間であり、幼いころからシンを知る人物でもある。 「で、どうだった?例のパーツは?」 「ああ、sariの言う通り、今は製造しとらん。製造中止になったのは最近じゃが、これから価値は上がるじゃろうな」  どうやら、かなりの戦利品だったようだ。 「やった。また強くなれそうだな。sari」 『はい 現時点での おおよその 出力パワー は 230 です。』 「ほっほっほ。成長したなあ。シン。昔のお前がすでに懐かしいわい」  幼いころに父を亡くしたシンにとって、菊間博士は父親のようなものだった。 「ああ。感謝してる」 菊間博士がいなければ、生きてこれなかったのだから。 「ところで、シン。お前、アーティカルグランプリには出るのか?」 「あー?まだ今は検討中って感じの所だけど……」 「お前、そもそもアーティカルグランプリとは何か分かっておるのか?」 「まあ……多分……」 「おい!バカもん!なんでそんな肝心なことをごまかすんじゃ……ほれ、sari、説明してみい。」 『了解 アーティカルグランプリ とは 応募された アーティーの中 から トーナメントを 行い 優勝者には センテレントエリア への 入場パス と 賞金 そして 超希少パーツが 贈ら れる ドラゴン〇ール で言う 天下一武〇会の ような ものです。』 「その通り。ちなみにセンテレントエリアとは、この世界で限られた人物だけが入場できる、特別なエリアじゃ。そして、3年に一度しか行われないアーティカルグランプリ、通称アーグラに、お前は挑戦するのかと聞いてるんじゃ」 「あー。なんか言ってたなあ。確か2か月後だっけか?」 「そうじゃ。いくらお前でも、正直優勝は厳しいぞ」 「え?マジかよ?じゃあどうすりゃいいんだよ?」 「アーグラの優勝者は毎回出力300は超えとるからな。到底及ばんじゃろ」 「そ、そんなあ……」  シンはがっくりとうなだれた。 「まあ話を最後まで聞けい。無理とは言うとらん。わしの技術があればな。しかし、技術があっても素材がなければ不可能じゃ。何が言いたいかわかるじゃろ?」 「つまり……パーツを集めろってことだろ?博士」 「ああ。その通りじゃ。パーツがなければ優勝など100%不可能じゃ。それこそ、宝くじの一等当選よりじゃ」 「そんなに厳しいのか。まあとりあえず、二か月で死ぬ気で集めるよ」 「おう。その意気じゃ。頑張ってくれ。そして、優勝賞金でわしの老後を楽にさせてくれ」 「やっぱりそれが目的か……」  だが、博士のこういう正直なところも、シンは大好きだった。 「おお、そうじゃ。忘れとったわ、ほれ。さっきのパーツを改造して作ったブースターじゃ。」 「ブースター?」  シンは、その名前を初めて聞いた。 「ああ。ブースターってのはな、簡単に言えば、手のひらからでるレーザーの威力とか、範囲をレベルアップするんじゃ。少し体が重くなるが、まあ変わらんじゃろ。ほれ。装備してみい。」  そう言うと、博士は、その「ブースター」というメタリックな赤色のものを差し出してきた。手のひらの部分に穴が開いていて、腕パーツの上からさらに重ねて装着するようだ。  ガチャン!  パーツがハマった音がして、sariから音がした。 『ピロピロリン! ブースター 装着 完了 出力が 5 上がりました。』 「おお!すげえ!早く打ってみてえ!」 「ほっほっほ。そうじゃろそうじゃろ。だが、燃料と充電は忘れずにな。アーティーにとって燃料&充電は命そのものじゃぞ」 「ああ!ありがとな博士。これでパーツ集めはかどりそうだ」 「シン、お前、これからどこに向かうんじゃ?」  嬉々とするシンを前に、博士は言う。 「え?そうだな。そういえば、箱根に行こうとしてたんだよ。俺」  すると、博士の目の色が変わった。 「お前、あいつに会いに行くのか?」 「あいつ?博士、知り合いか?」 「知り合いも何も、昔、あいつはわしと一緒に研究しとったんじゃ。それがいつのまにか、H型とO型などという派閥ができて、今じゃ敵同士になってしもた。」 「へー。そうなのか」  シンがそういうと博士は少し怒ったような顔で言った。 「シン、お前なあ、どれだけ危険なことかわかっとるんか?ハチの巣に入っていくようなもんじゃぞ」 「大丈夫だって。こっちには作戦があるんだ」 「作戦じゃと?お前がそんなものを考えるなんて珍しい。まあいい。とにかく死ぬんじゃあないぞ。」  博士の目は少し穏やかな色になった。 「分かってるって。じゃあ、そろそろ出るよ。パーツ集まったらよろしくな。博士」 「気を付けるんじゃぞ。」 「もちろん。よし、行くか、相棒。」 シンは少し青空を見てから言った。 「Hey,sari。飛行モードに変形してくれ。」 『了解 脚 パーツを 飛行モード に 変形 します』  ウィーン。お決まりの音がしてから、青白い炎が出る。目指すは箱根、そこに新しい強さがあるのだ。 「箱根までどれくらいだ?」 『目的地まで 約 23分 です。適当な音楽 を 流しましょう か?』 「いいねえ。せっかくだからこの青空に似合うやつ頼むよ」 『はい RADWIMPS の 君と 羊と 青を 再生します』 「最高だなお前」  冒険はまだ始まったばかりだ。
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