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『残り 約 3分 で 目的地 に 到達します』 「おお。もうすぐだな。楽しみだ」  シンは、菊間博士の元同僚という人物に接触するために、箱根に向かっていた。そこで、さらなるパワーアップを試みていた。しかし…… 『キイーーン!』  sariから聞き慣れない音がする。 「な、何だ?!急にどうした!?」 『警告! 警告! 前方3キロ に O型アーティーの 集団 が 出現しました!』 「3キロ先に集団だと?sari、数はどのくらいだ?」 『およそ 20 体 と 推定され ます』 「20体のO型アーティー……」  シンは少し考えこんだ後、こう言った。 「大丈夫だ。問題ない。このまま進んでくれ」 『しかし この敵の 量では 勝率は 60% 程 だと思われます』 「この程度でビビッてちゃ、強くなんてなれないんだよ。無理やりでも行く」 『承知 しま した』 「それに、新しいこいつを試してみたいしな」   そうつぶやいた後、シンは自分の手元に装着したブースターを見た。 『ブースターからの レーザーの 放出は 20秒の 充填時間が かかります 今の うちに  出力 開始 しますか?』  sariが尋ねてくる。 「いや、まだいい。敵の装備と人数を確認してからだ」 『対象 到達 まで のこり 3秒 です』  きたか。  シンは、ついにO型アーティーの集団に遭遇した。相手側は、驚き戸惑っていたが、そのうちの一人が、攻撃を仕掛けようとしているのを、シンは見逃さなかった。 「おい!あそこにH型がいるぞ!取り囲め!」屈強そうな男のアーティーが叫んだ。 『敵の数は 18体 そのうち スタンダード 装着者 15体 レアパーツ 装着者 が3体 です』 「少し多いか。sari、出力開始だ」 『了解 腕パーツ レーザー及び ブースターの 出力を開始 します』  ここから、いかに時間を稼げるかどうかが、シンの生死に関わる。ミスは一つたりて許されない。  早速、O型のアーティーが銃弾を打ってきた。避けた銃弾は、シンの顔の横を飛んで行った。 「休むな!撃ちまくれ!」  敵側も畳み掛けてきた。 「この程度の銃弾ならまだ余裕があるが……」  シンの顔には少し焦りの色が見えた。次々と飛んでくる銃弾を、蹴ったり、避けたり、跳ね返したりと、冷静に対抗する。しかし、ここで予想外の事態が起こった。 『前方に、ホーミング弾を 確認 しました』 「ホーミング弾だと?このご時世にまだ使ってるやつがいるのかよ?!」  ホーミング弾とは、数年前に流行したレアパーツの一種で、一度対象を捉えれば何かにぶつかるまで追い続けるという特徴から、多くのアーティーが使用していた。  それが、近年は防御重視のパーツが流行している傾向にあるので、次第に使われなくなり、今ではほとんど見なくなっていた。すると必然的に、ホーミング弾に対しての対策装備をするアーティーも少なくなる。なので、シンも、ホーミング弾への対策はしていなかった。  くっそぉ……どうするか……  考えている間にも、ホーミング弾との距離は縮まっていく。  ああ。もうやるっきゃねえか。 「Hey,sari、速度強化モード。」 『速度強化モード に 変形します』  脚パーツの形がさらにいびつになっていく。足の先端は細く尖り、風を切るような形になった。 「な、なんだよその姿は?」  敵の驚きの声。このモードは、シンの最大の特徴でもある。極限まで速さを求めた形態で、銃弾すらスローモーションに見える。ただ、多量のエネルギーを必要とするので、この後のレーザーの威力は少し落ちてしまう。まさに苦肉の策だ。これで、銃弾をかわして、とりあえずの対処としよう。 「来いよ。ついてこれるならな」  O型アーティーを煽った後、シンは腕に意識を集中させた。敵のアーティーはまんまと釣られた。飛んできているホーミング弾は3発。レーザーの出力時間はのこり4秒か…… 「行くぞ。sari。出番だ」  ……シュンッ!!!!  そう言うなり、シンは驚異的なスピードで上空まで飛び上がった。ホーミング弾の範囲から、一瞬にして外れてしまったのだ。ある程度の高さまで行くと、シンはいつもの構えをした。右手の手のひらを前に差し出す。 「【レーザー砲】発動!」 『高度300メートル到達 ブースターから レーザー 放出 開始 します』  ギュィィィィィイイン!  シンの手のひらから青白い光が放たれた。ブースターによって、より広い範囲に攻撃が及んでいる。 「ぐぁぁぁぁぁ!!」  敵の断末魔が聞こえた。  しかし、これでは全員にとどめを刺せたかどうかわからない。すかさず、シンは続けた。 「Hey,sari、接近戦モード」 『了解。腕パーツ を変形 させます』  ガチャン……ガチャ!!  シンの両腕が双剣のように変形した。レーザーの青白い光が剣に反射して光る。 「さあ、とどめをさしにいこう。」  アーティーを根本から倒す必要は一つ。内側にある、AIごと砕くしかない。もしAIが損傷すると、アーティーはその機能が停止し、パーツがすべて外れる。そして、生身の人間に戻るのだ。なので、アーティー同士が戦闘を行っても、命がなくなることは無い。しかし、強さを求めるアーティーにとって、パーツを奪われることは、命をなくすことに等しい。それだけ、真剣勝負なのだ。  シンは光に包まれる地上に向かって滑空した。このスピードを利用して剣で敵のAIごと破壊する算段だ。  下降するにつれ、レーザーの光の残りで見えづらかった地上の様子が見えてきた。スタンダード装備のアーティー達は破壊できていたが、レアパーツ装備者は破壊しきれなかったようだ。 『高度が 100 メートル を 切りました 対象 確認 真横を高速で 飛行します』  体を風に任せる。シンは腕を伸ばし高度10メートルを3秒間飛行する。  ガンッ!ガンッ!ガンッ!  三度、手ごたえがあった。  耳障りな機械音だけが鼓膜で反響する。  バリンッ……!  少し遅れて、AIが破壊され、パーツが外れる音がした。戦いは、終わった。 「よっしゃぁ!」  シンは思わずガッツポーズをした。 『対象破壊 任務成功 です』  ゆっくりと地上に降りてみる。強化されたレーザーによって、かなり範囲が広がっていたことがわかる。これだけなら、半径50メートルにはなっていそうだ。そこには、ホーミング弾をはじめとした、見慣れぬレアパーツが散乱していた。 「よしよし。まずまずの収穫か。でも予想外だったな。箱根までの道のりでこんなに激しい戦闘が起こるとはな。目的地はすぐそこだったのに」  そう言ったシンの真後ろで、急に男の声がした。 「ほお。なかなかいいデータがとれたな。お前さんが菊間の犬か」  その男は、学者風の身なりをした、顔の険しい老人だった。 「誰だお前……?」  シンの声は少し震えていた。
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