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「sariのレベルアップ?一体どういうことだ?博士」  アーティーのレベルアップなら、その人間自身の強化、パーツの改造で出力数は強化されるが、AI自体の改造は聞いたことがなかった。 「言ってしまえば、お前のsariはまだ少し経験が浅い。アーグラに出るようなアーティーのAIは、ものすごく高性能かつ、知能指数が段違いだ。そして、sariを改造する間にシン。お前も学習しろ」 「俺も学習?けど、頭脳の面では、sariに任せるんじゃ……」 「基本はそうだ。しかし、試合中に何が起こるかわからん。お前自身も、冷静な判断で動けるよう、今から勉強してもらう」 「けど、何をすれば……」  ずっとセンスに頼って戦ってきたシンは、もちろん勉強なんかしたことはなかった。 「今からお前には、10年分のアーグラの試合DVDを見てもらう。選手の特徴を、すべて暗記しろ。するまで飯はなしじゃ」 「えええええ!死んじゃうって!」  実際、シンはかなりお腹が空いていた。 「ほれ、早くしろ」 「くっそぉ……」  博士がシンのアーティー化を解除し、sariを取り外したところで、シンは10年前のDVDを再生し始めた。  第一試合。  一試合目は、紫色に光るアーティーと、赤色の細身のボディをしたアーティー同士の戦いだった。  レディ、ファイッ!  テレビから聞こえる音だけで、心が燃えてくる見始めてすぐわかった。これはどう見ても異質な戦いだ。  紫色で巨大なアーティーは、防御型。試合開始直後に全身をドームのように覆い、すべての攻撃を受け付けず、その場で固まっていた。特技「復活」と一緒で、相手のスタミナ切れで勝利するようだ。対して相手は、赤色で、どこかアイアンマンを彷彿とさせた。火を多く用い、相手ごと溶かしてしまうようだ。いわゆる、熱戦型といわれるタイプだろう。  どうなるんだ……これは……  全く展開が読めない。だが、勝負の分け目はやはり、防御型アーティーの耐久力だろう。あの高熱に耐えられるのか。  開始3分、事態は進展しない。5分間の試合でここまで進展がないのは中々ない。  しかし、次の瞬間、変化が訪れた。紫色の防御型アーティーの装甲が、なんと溶け始めたのだ。会場は騒然となった。当然、そのチャンスを逃さず、赤い熱戦型アーティーは、ミサイルを撃ち込む。勝負がついた。赤いアーティーの勝利だ。  その後も、正攻法とは言い難い試合が続いた。そこで、シンは、こう大まかに分類することにした。 「パワー型」とにかく相手を一発で仕留めたり、一撃で大きなダメージを与えることでの勝利を目指す。パワー型のほとんどはボディが巨大で、特に腕パーツにレアパーツを使うことが多い。主な特技は、【正拳突き】、【破壊】、【打ち返し】等を持ち、弱点は、スピードの遅さ、燃料の消費が激しいこと。 「砲撃型」銃弾、ミサイル、爆弾まで。飛び道具はなんでもあり。相手に一度も触れずに勝利することもある。敵から攻撃を受けにくいように、空中戦を得意とし、スピードもそこそこある。主な特技は、【銃弾の雨】、【マシンガン】、【大砲】など。弱点は、接近戦に弱く、銃弾が尽きてからのパワーダウンが大きいこと。 「防御型」防御型には大きく2種類あり、全身を覆って一歩も動かないタイプと、動きながら防御力を活かしアクティブな戦闘をするタイプがある。全タイプ中最も防御力が高く、並みの攻撃は寄せ付けない。ほとんどが盾を装着している。一応ミサイルなども搭載しており、敵の攻撃を反射して攻撃することもできる。主な特技は 【大防御】【カウンター】【盾突進】など。弱点は、スピードの遅さ、一度欠落が起きるとそのまま不利な状況が続くことや、戦闘が長引きやすいこと。 「空中型」空中戦で無類の強さを誇る。飛ぶ速さ、そして上空から打ち込む飛び道具は脅威。最近増え始めている。接近戦も強いのが砲撃型と違う点だが、燃料の消費が激しい。主な特技は「空中回避」、「砲撃」、「破壊」。弱点は、燃料の消費、決定打に少し欠けること。 「特殊型」頭脳を使う、全く新しいタイプや、希少すぎるタイプはここに分類される。前回見た、「復活」を持つアーティーもそうだし、中にはハッキング能力を使ってAIごと狂わせてくる者までいる。実に様々だ。  そして最後に、シンが分類される、 「スピード型」最近はあまり見ないが、王道のタイプ。その速さは、どのタイプをも凌駕し、視界から消えることもできる。一方的に勝つことが多い。接近戦、砲撃面はどちらもそこそこ。主な特技は、「超速打撃」、「加速」、「回避」など。弱点は、力と防御がほかのタイプより少し劣り、砲撃型と相性が悪い。  こんな感じで、アーグラに比較的出場回数が多い6種類を特定できた。実際には戦闘タイプまだまだあるのだが、とりあえずこの辺を押さえておくしかない。  一体どうすればこんなやつらに勝てるのだろう。そもそも、戦闘タイプなんて遺伝子依存だし。イメージが湧かない。シンは、少し目を瞑った。 「ほれ、途中段階だ」  博士が部屋から出てきた。 「どんな感じだ?」  相変わらず汚く散らかった部屋に入る。東郷博士の部屋とは大違いだ。 「とりあえず、sariにより高度な分析プログラムを追加した。これで、敵の察知、能力推定が進化したはずじゃ。さらに、対象確認プログラムが、大幅にアップデートされている」 「おお!それはいいな!」 「それからシン。お前は、明日から特別訓練に行ってもらう。」 「特別?なんだそれ。きついのか?」 「なあに。少し死にかけるだけだ。」 「ああ。少ししにかけ……ええ?!」  大声で叫んだので、部屋の薄い壁に反響してうるさかった。ともかく、シンには、厳しい試練が待っていそうだ。
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