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[*label_img*]   大陸歴一七九六年、十二月十九日、朝。  エレインは庭の土を木の棒で抉って魔法陣を描く。魔法陣自体は一度行ったことのある場所へ容易に行くことのできる、《転移魔法|モビリス》の拡張機能のようなものだ。アラステアはエレインの後ろで荷物片手にその様子を観察していた。 「これでよし……と」  ようやく魔法陣が完成する。人二人が入るにはちょうどいい大きさだ。 「アルさん、こっちに来てください」 「はい!」  アラステアが駆け寄ってくる。二人で魔法陣に入り、エレインとアラステアは手を繋ぐ。 「あれ? 手を繋ぐのですか?」 「はぐれないようにするためです。たまにあるのです、別々の場所に飛ばされることが」 「……こ、怖いですね」 「多分、大丈夫だと思いますけれど」  そう、多分、大丈夫だ。《転移魔法|モビリス》自体はそれほど難しい魔法ではない、ただ出入り口がきちんと設定されていないと、あらぬ場所へ飛んでしまうこともある、というだけだ。そのときはぐれると探すのが面倒臭いので、手を繋いでおくほうがいいのだ。  エレインは魔法と位置を唱える。 「《転移魔法|モビリス》、ヒース・エクリア!」  ぐにゃり、と視界が歪んでいく。  アラステアは慣れないせいか、エレインの手を強く握っていた。痛い。  そして気づくと、四ヶ月前に来たエクリア村の外れに二人は到着していた。 「あの、アルさん。もう着きましたから、手を外してもらってもいいですか? 痛くて」 「あ! す、すみません! びっくりして」  慌ててアラステアは手を離す。エレインの左手には、くっきりと握られた赤い跡が残っていた。 「さて、と。ヘフィンさんのところに行きましょう」  アラステアの案内で、エレインはヘフィンの自宅へと向かう。  途中、村人とすれ違うたび、アラステアは挨拶を交わす。エレインは会釈だけして通り過ぎた。  やはりというか、ヘフィンの自宅、アラステアの実家は、小屋とも家ともつかぬ木組みの建物そのままだった。四ヶ月前と何も変わらない。  アラステアは元気よく玄関を開ける。 「ただいまー、《義兄|にい》さん」  パンとスープという簡素な朝食を摂っていたヘフィンは、驚いて声を上げる。 「アル!? どうしたんだ、いきなり。それに、エレインさんも」 「お久しぶりです。少しお尋ねしたいことがあってまいりました。アルさん、まずはお土産をお渡ししないと」 「あ、そうですね。《義兄|にい》さん、お土産だよ」  そう言ってアラステアは手提げ袋をヘフィンに渡す。 「ありがとう、アル。それに、エレインさんも」 「お気になさらず。冬至の祭りも近いですし、食事の足しになればと思って」  手提げ袋の中には、大量の干し肉が入っていた。ヘフィンは手提げ袋の中身を確認すると、台所へと置きにいく。  戻ってきたヘフィンは、三人分のお茶を持ってきていた。 「薬草茶ですが、お口に合えばいいのですが」  エレインの前に差し出された木製のカップは、緑色の透明な液体で満たされていた。  アラステアは喜んで薬草茶を飲む。エレインも恐る恐る口をつけた。苦くはない、むしろ後から甘みが湧いてくる。 「うん、美味しい。《義兄|にい》さんは料理が上手なんですよ、エルさん」 「そうなんですね」 「そこまで言われるほどでは……それより、何かあったのですか?」  おっと、そうだった。本題に入らなくてはならない。  エレインはアラステアに視線を送る。アラステアは頷き、ヘフィンに尋ねた。 「《義兄|にい》さん、僕を拾ったときのこと、憶えている?」 「ああ、憶えているよ。十七年前の春の朝、ここの玄関に……そこのバスケットに入れられて、置かれていたんだ」  ヘフィンは小屋の隅にあるバスケットを指差す。赤ん坊くらいなら余裕で入りそうだ。 「最初は何事かと思ったが、すぐに捨て子だと分かって……ああ、そう言えば、手紙もあったんだった」 「手紙!?」 「俺もお前も、文字が読めないだろう? だから、お前が一人前になって、文字が読めるようになったら渡そうと思っていたんだ」 「今もあんまり得意じゃないけどね……エルさん、読んでもらってもかまいませんか?」 「もちろんです」  その言葉を聞くと、ヘフィンは神妙に頷き、戸棚の中から紙切れを一枚持ってきた。  エレインはそれを受け取り、読む。 『事情があって、この子を育てられなくなりました。この子の父の名はヘイファル・イーダーズ、母の名はフロレンシアと申します。この子の父はすでに他界しており、私一人ではとてもこの子の世話ができず、かと言って一緒に死ぬこともできませんでした。どうか、この子を育ててくださいますよう、お願い申し上げます』  読み終わると、しん、と三人の間に静寂が訪れる。  切実な内容だった。名前からして、アラステアの父が魔族だったのだろう。それはヘフィンには伝えないが——それにしても、なぜヘフィンの元にアラステアを置いていったのだろう。 「ヘフィンさん、フロレンシアという女性に心当たりはありませんか?」 「いえ、聞いたこともありません。もしかするとこの村の住民台帳を調べれば分かるかもしれませんが」 「ここの出身者ではないかもしれませんしね……」 「多分ですけど、ここが一番村の外れだから、置いていったのかもしれません」  確かに、その可能性が一番高い。村に入れば誰かに見つかってしまうかもしれないし、裕福な家の前に置かれても救貧院送りにされることだってあり得る。ヘフィンの人柄を知っていて、そうしないと分かっていたからアラステアを置いていったのではないか、とエレインは推察しているが、知り合いでないとするとどうなのだろうか。  しょうがない。エレインは手紙を預かっていいか、とヘフィンに尋ねると、ヘフィンはかまわないと答えた。《黒曜館|こくようかん》に戻ってから、《知悉魔法|レヌンティオ》をかけよう。  三人はしばらく談笑したのち——主にアラステアの最近の目覚ましい成長ぶりを話題に取り上げ、話に花を咲かせた。あまり長居しても邪魔になるので、一時間もしないうちにエレインはお暇することにした。 「では、ヘフィンさん、朝から押しかけて申し訳ありませんでした。くれぐれもお体に気をつけてくださいね」 「は、はい。ありがとうございます」 「《義兄|にい》さん、結婚が決まったら急いで知らせてね。どこにいても駆けつけるからさ」 「ははは、来年の春ごろにはプロポーズをしようと決めているんだ。そのころになったら、また連絡するさ」 「楽しみにしているよ! それじゃあ!」  エレインとアラステアは、ヘフィンの家を後にした。 ☆  エレインは《黒曜館|こくようかん》に戻ると、執務室に籠もり、例の手紙を机の上に置いて手をかざした。  そして魔法を唱える。 「《大知悉魔法|レヌンティオ・グランディス》!」  エレインの顔の前に、光る文字の羅列が並ぶ。対象物から読み取れる情報のすべてを開示させる《大知悉魔法|レヌンティオ・グランディス》は、この手紙が知り得た情報を余すところなく調べ上げた。 『筆記者:フロレンシア・オズワルド 筆記日時:大陸歴一七七九年三月一日午前三時四十分二十秒 宛先:指定なし 実際の宛先:西ユーファリア王国ヒース領エクリア村外れの小屋 記載内容の真贋:真 筆記者の当時の住所:南ユーファリア王国ザカン領クィネル 筆記者の親類:ヘイファル・イーダーズ(亡夫)、ウェイル・オズワルド(第一子) 筆記者の当時の年齢:二十四歳 筆記者の人種:人間 筆記者の性別:女性』  エレインは用意していた上質紙を机の上に置き、指差して魔法を唱える。 「《文字よ|リテラトゥス》、《紙に書き写せ|デスクリボーレ・イン・カルタ》!」  すると、エレインの顔の前にあった文字の羅列は、すうっと上質紙に落ちていく。  あっという間に書類の完成だ。あとはこれを元に、足跡を辿っていけばいい。  となると——やはり、クィンシーの情報網に頼ったほうがいいだろう。もちろんアラステアに関わりのあることである、ということは秘密にして。調査費用はエレインの懐から口止め料も含め、金貨百枚ほど出しておこう。  さっそく、エレインは上質紙から必要な情報だけを抜き出して別の紙に書き込み、封筒に入れる。  ちょうどそのときだった。執務室の扉が三回ノックされる。 「はい、どうぞ」  エレインは声をかける。  入ってきたのは、噂をすれば何とやら、クィンシーだった。 「エルさん、来年度の予算の何割を擬似魔法の書物購入に充てます? それによってこちらもどれだけ輸入するかを決めなくてはならないのですが」  エレインは少し悩んだ後、こう答えた。 「全部です」 「はい?」 「ですから、あるだけ輸入してきてください。後は私が何とかします」 「いいんですか!?」 「来年は予算のあてがありますから、そこはどうか心配なさらず。それよりも、個人的にお願いしたいことがあるのですが」 「ふむ、伺いましょう」  エレインは、アラステアのことは巧妙に隠して、フロレンシア・オズワルドについて調べて欲しい、とクィンシーに依頼した。  クィンシーはしばらく考え込んでいたが、やがて顔を上げると、大きく頷いた。 「分かりました。どこまで調査できるか保証はできかねますが、グラッドストン商会の情報網を使って調べてみます。その紙をいただいても?」 「はい、もちろん。もしその人物が見つかった場合、私にだけ知らせてください。決して、他言はしないように」 「当然です、商人の口は金貨でしか開きませんよ。金貨百枚以上積めればの話ですがね」  ははは、とクィンシーは笑う。エレインは内心ホッとしていた。こんな面倒な話、断られるかもしれない、と考えていたのだ。ついでだ、上乗せしてしまえ。 「成功報酬はさらに金貨百枚をつけます。前払い分はこちら、お受け取りください」  エレインは執務室の机の引き出しの鍵を開け、金貨の入った袋を取り出す。そして、それをそのままクィンシーに手渡した。  クィンシーは戸惑っていたが、さすがは商人というべきか、さっそく調査してくる、と言って出ていってしまった。  人間、あれくらい口が固く単純ならいいのだが。  エレインはもう一枚の上質紙に情報を写し取り、鍵のついた棚に入れた。 ☆  午後。  エレインにとって恐ろしいことが起きた。  何と、フルストがメルヴィルを伴って訪ねてきたのだ。  ばつが悪そうな顔をしたフルストは、ニコニコと笑顔を崩さないメルヴィルにまるで監視されているかのようだ。 「あー……エルよ、この間はすまなかったな。留守にしていた」 「いえ、こちらも不法侵入をしてしまいましたから、水に流してもらえれば」 「そう言ってもらえると助かる。何やらメルヴィルがお前に話があるとのことで、連れてきたのだが」  メルヴィルが? この腹黒男が?  冗談ではない。しかし断る理由も見当たらない。 「陛下、そこから先は私が。いえ何、ちょっとした休暇をいただきたいと思いまして、休暇の過ごす先を探していたのです。そこで、魔族にも理解のあるエレイン様の館に逗留させてはいただけないかと思いまして、どうでしょうか?」  断固拒否だ。徹底抗戦だ。エレインはフルストを睨む。睨まれたフルストは顔を背けた。役立たずめ。 「どうして今更休暇を? 魔王陛下にお仕えしなくてはいけないのでは?」 「千年も仕え続けてまいりましたので、そろそろ休暇を取って気分転換をしたいと思った次第でございます。無論、タダで逗留するというわけではございません。執事役でも雑用でも、何でもして差し上げます。いかがでしょうか?」  エレインは小さく嘆息した。そこまで言われて断るなど、まるでエレインが悪者のようではないか。 「いかがも何も……魔王陛下の許可が下りたなら、私からは文句の言いようがありません」 「だそうですが、陛下、いかがですか?」  メルヴィルはフルストへ尋ねる。  フルストは苦々しげに語る。 「……本音を言うとだ、お前の有能さを俺は評価しているつもりだ」 「お褒めに与り光栄でございます」 「しかしだ、千年の長きに渡り一日たりとも欠かさず尽くしてくれたことは、筆舌に尽くし難い貢献だったと思っている。ゆえに、お前の休暇の申し出を断る術を俺は持たぬ。エルよ、メルヴィルを頼んでもよいか?」  この魔王め、部下の制御もできないのか。  フルストを罵倒したい気分でいっぱいだったが、エレインは何とか自制してさっさと話を進める。 「分かりました。では、私の秘書をやっていただきます。期間はどのくらいにしますか?」 「そうですね……三ヶ月ほど様子を見て、その後延長するかどうかを決めましょう。陛下の身に何かあればバラジェニカへすぐに戻りますので、ご心配なく」  三ヶ月。短いようで、長い時間だ。  エレインは受け入れる代わりに条件を出した。一つは身の危険が伴わないかぎり魔法を使わないこと、二つめはなるべく黒曜館《こくようかん》から出ないこと、三つめはエレインの命令をなるべく聞くこと。  メルヴィルは嫌な顔一つせず、この条件を受け入れた。 「では、よろしくお願いいたします、エレイン様」  もはや何が起きても驚かない。エレインはそう思った。 ☆  大陸歴一七九六年、十二月十九日、夕方。  エレインは使用人五名とアラステア、クィンシーを食堂に集め、メルヴィルの紹介を行った。 「こちらはメルヴィル・フロウスさんです。私の秘書として三ヶ月ほど働いてもらうことになりましたので、皆さんよろしくお願いいたします」 「ご紹介に与りました、メルヴィル・フロウスでございます。何分不慣れな土地、不慣れな仕事に携わるため、皆様にご迷惑をおかけするかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします」  メルヴィルはそう言って深々と一礼をする。何が不慣れだ、千年も生きていて不慣れなことなどあるわけがない。しかし、精悍な顔立ちに高身長、スラリと伸びる手足と来て、モデル顔負けのスタイルを誇るメルヴィルに、メイド二人は色めき立つ。気持ちは分からなくもないが、やめておいたほうがいいよ、とエレインは心の中で思った。  特に誰も、メルヴィルを拒絶する人間はいなかった。魔族とはいえ、実際に目の前で丁寧かつ柔らかな物腰を目の当たりにしてしまえば、偏見もどこかへ消え去るというものだ。なるべく《黒曜館|こくようかん》から出ないように、とは言ったが、これなら買い物くらいは任せられるかもしれない。 「メルヴィルさんですか。メルさんって呼んでもいいですか?」  アラステアは呑気なことを言っていた。そいつは魔王の部下だぞ、腹黒男だぞ、と言いたいのをエレインは堪える。 「ええ、どうぞ遠慮なくメルとお呼びくださいませ。アラステア様」 「様付けなんてしなくていいですよ。僕のこともアルと呼んでください」 「かしこまりました。ではアルさん、少し体の重心が上すぎるきらいがありますね。もう少し重心を落としたほうが剣を扱いやすいですよ」 「えっ!? そうなんですか!? うわあ、ありがとうございます!」  勇者アラステア、陥落。エレインはこれも魔王の策略なのではないか、と疑心暗鬼になりかけていた。  クィンシーは——どうだろうか。 「メルヴィルさん、お久しぶりです。バラジェニカではお世話になりました」 「いえいえ、こちらこそ。ここでお会いできたのもまたご縁があったということですね」 「ははは、商人は験担ぎが好きなもので、そういう言い方をされると何だか嬉しいですね。またよろしくお願いします」  《クィンシー、お前もか|エト・トゥ・クィンシー》。エレインは心の中で呪詛の魔法を編み出していた。  とにもかくにも、メルヴィルにはまず初めにやってもらわなくてはならないことがある。  エレインはメルヴィルを伴い、地下のワイナリーの隣の小部屋に行く。 「この魔法陣です。強固に作られすぎていて、私では解除もできないのです」 「ふむ、なるほど。これは確かに、陛下の仕業ですね。申し訳ございません」  魔法陣を見たメルヴィルは、心底申し訳なさそうだった。とりあえずの応急処置として、魔法陣の上書きを行う、という。 「この部分を書き換えてしまえば、バラジェニカ側から来ることはできなくなります。こちら側からは行く必要もありませんので、そこまでしなくてもいいでしょう」 「ありがとうございます。これで毎晩陛下の話に付き合わなくて済みます」 「はっはっは! いや、本当に、これは申し訳ない。完全に誤解をしていました」  メルヴィルは正直に謝る。そんなに低姿勢で来られては、エレインも文句のつけようがない。  そしてその誤解は明言していないが、おそらくエレインがフルストの婚約者か恋人だと本気で思っていたことだろう。迷惑極まりない魔王だ、本当に。  その後、エレインは《黒曜館|こくようかん》の中を一通り案内する。魔王城の主であるメルヴィルにとっては、地方の館など小屋のようなものだろう。あっという間に部屋の配置を覚え、難なくエレインの執務室まで辿り着く。 「ここが私の執務室です。基本的に私はここにいますので、何かあればここへ来てください」 「かしこまりました。とりあえず、秘書業務の内容について伺いたいのですが」 「来年度の帳簿整理と、予算の計上と、各村々や街から集まってきた租税名簿の清書が主な仕事となります。書式が統一されていませんでしたので、再来年から統一するよう働きかけているところです」 「ふむ。意外ですね」 「何がですか?」 「エレイン様は、もっと派手な仕事を好まれるかと思っておりましたが、事務仕事もこなされるとはさすがです。陛下にも見習っていただきたいものです」  フルストの話はもういい。エレインはジト目でメルヴィルを睨む。 「ははは、そう怖い目で見ないでください。仕事内容は把握しました、私も昔は地方官僚だったころもありましたので、少しばかりはお役に立てるかと」 「それは何千年前の話ですか?」 「千百年前の話です」  もはやメルヴィルは歴史の生き証人だ。生きる化石と言ってもいいくらいだ。  そんなやり取りを交わしながら、二人は食堂に戻る。 「そう言えば、メルヴィルさんは料理はできますか?」 「人並みには。エレイン様が魔王城で食べられたジンジャークッキーは私が作ったものですよ」 「そうだったのですか!?」  エレインは驚く。男性があんなに可愛らしい料理をするとは思ってもみなかった。 「ご希望があれば、何でもお作りいたしますよ」 「じゃあ、冬至の祭りの後は使用人たちに休暇を与えますので、その間食事当番をお願いしてもいいですか?」 「かしこまりました。後で食材を確認しておきますね」  何だこの有能秘書は。バラジェニカの魔王城で会ったときから思っていたが、何でもできる完璧超人ではないか。  いや、騙されてはいけない。魔王城であったことを、エレインは自分に言い聞かせる。平和に足止めと言いつつ、あの庭園から出ていれば殺されていたかもしれないのだから。  エレインは心の壁という予防線を作りつつ、メルヴィルに接することを強く決心した。
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