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「エルフがこの村に何の用ですか?」  口調こそ優しいが、相手はローブを着たスケルトンである。  言葉を喋り理性があるということは《不死者|アンデット》族ということになる。  ナオとリベッチオはガタガタと震えていた。 それ以前に二人とも荒縄で縛り上げられているので震えるしかなかったのだが。  話は数時間前に戻る。  村を出た二人は一週間をかけて森を出て、森から目的の地まで3日をかけてやって来ていた。  当然のことだが食料はとっくに尽きている。 村で仕事が得られなければ、食料が得られなければ餓死決定である。  最悪の場合は村で春を売ることも覚悟していた。  そう覚悟を決めて村の近くに来たら、村の外苑の畑で数体のスケルトンが農作業をしている。  アンデットといえば夜の住人という先入観があった二人にとって衝撃の光景だった。  詳しく探ろうと近づいたところを武装した二体のスケルトンソルジャーと三体のスケルトンアーチャーに取り囲まれていて捕縛されたのだ。 「村で雇って貰えたらなと思って…さ、最悪た、食べ物だけでも売ってください」  絞り出すようにナオはこの村に来た理由を話す。 「雇う…ですか?」  アルテミスは考えるような仕草をする。 いまのところ労働力は足りている。  だが食べ物を売って追い返すことは今しばらくここの情報を隠したいという意味で出来ない。 始末するか… 「アルテミス。怖いこと考えてない?」  不意に後ろから声を掛けられてアルテミスは肩を震わせる。 「では如何いたしましょう。ソウキさま?」  アルテミスは振り返り声の主…黒髪黒目、中性的な顔立ちの十歳ぐらいの少年に向かって返答する。 「災害で思ったより早く外部との接触がありそうで、アンデットだけでは回せなくなるって言ってたよね?」  まぁ今が正にそのときなのですが、と野暮な事をアルテミスは言わなかった。 「で、君たちは幾らで自分を売るの?」  リュウイチの言葉にナオとリベッチオは固まる。   少なくとも子供の言うセリフではない。 「い、いくらで買ってもらえますか?」 意を決したらしくナオは尋ねる。 「そうですね「もしかして常軌を逸した額が欲しいの?売る気なんてありませんとか反発されると思ったんだけどなぁ?」」  アルテミスの言葉をリュウイチが遮る。 「今回の飢饉は本当に酷く、その、わたしは自分の村を救いたい…です」  ナオの顔が何かを決意したかのようにキリリとなる。 「わたしの村を助けてください。わたしは如何様な地位の奴隷に堕ちても構いません」  それは見事な土下座であった。 「わ、わたしからもお願いします」  リベッチオも土下座をする。  自らの意思で並んで土下座をするエルフ。ある意味貴重な光景である。 「最初に仕事を望んだということは、村を救う役目のエルフが別にいるのでしょ?」  ナオとリペッチオは顔を見合わせそれからアルテミスを見る。 「ご推察通り…ですが、ここに来るまでの状況から街だと十分な量の食料を確保できるとは思いません。しかし、この村の規模と畑の規模ならそれなりの穀物の余裕のある備蓄があると」  ナオの指摘にアルテミスは嗤うように口を動かす。 「拾い物かもしれません。商談といきましょう」  アルテミスの言葉にリュウイチもナオとリベッチオも小さく頷いた。
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