フォントをダウンロード中
ページの左右でマウスを左クリックします。
または、 キーボードの左右の矢印キーを入力します。
ページ上で指先を左右になぞると、 前/次ページへ移動します。
メニューはページをタッチすると現れます。
× ヘルプを閉じる
 大陸歴3182年冬。  木の上から平原をみていたナオは目的のもの…六体の《大猪|ビック・ボア》の群れを見つける。  《大猪|ビック・ボア》は簡単にいえばイノシシだ。ただ20センチの長い牙とお尻付近に生える1メートル近い長さの棘のような毛のもつ攻撃力が洒落にならない。  とくに1メートル近い長さの棘はそのまま短槍として利用できるほど硬くて鋭い。  そのため《大猪|ビック・ボア》の退治は大変な労力を強いられる。  すっすっとハンドサインをそれぞれ十数メートル離れた所にいる一体のスケルトンソルジャーと二体のとスケルトンアーチャーに送る。  因みにスケルトンソルジャーには四体の長い棒を装備したスケルトン。  スケルトンアーチャーには四体のスリングを装備したスケルトンが部下として控えている。  ハンドサインで示された《大猪|ビック・ボア》までの距離と《大猪|ビック・ボア》の移動速度。  予想される進路を元にスケルトンソルジャーとスケルトンアーチャーが動き始める。  ナオは担いでいた長弓を構え矢を番える。 スケルトン達が予定位置に就いたのを確認して… ぎりっ    ナオは弓を引き絞る。 そして群れの一番後ろにいる《大猪|ビック・ボア》の頭に狙いを付け、前に移し、上に向けて放つ。 しゃっ  矢を放つと共に鋭く風を切る音が響く。 しゃっしゃっ  立て続けに二発、今度は後ろから二番目の《大猪|ビック・ボア》の頭目掛けて矢を放つ。 ぷぎぃいぃ  悲鳴があがる。  後ろから二番目の《大猪|ビック・ボア》の頭に二本の矢が突き立っていた。  一瞬、《大猪|ビック・ボア》の群れがばらける…が。 とすっ  一番後ろにいる《大猪|ビック・ボア》の頭に上空から一本の矢が降ってきて眉間を打ち抜く。  一番後ろにいた《大猪|ビック・ボア》の悲鳴は一瞬だった。  方向の違う攻撃に警戒した《大猪|ビック・ボア》が円陣を組む。 じゃ  矢や石が《大猪|ビック・ボア》に降り注ぐのと同時にスケルトンソルジャーと四体のスケルトンが飛び出す。  スケルトンソルジャーがロングソードを振り下ろす。 ぷぎぃいぃ  顔面を割られた《大猪|ビック・ボア》がスケルトンソルジャーに突進する。 がしっ  《大猪|ビック・ボア》の牙をスケルトンソルジャーは盾で受け止めた。 ばしばしばし  三体のスケルトンが顔面を割られた《大猪|ビック・ボア》に向かって長い棒を振り下ろす。  残る一体のスケルトンは他の《大猪|ビック・ボア》が助けに入らないように牽制だ。 がす  スケルトンソルジャーのロングソードが再び《大猪|ビック・ボア》の顔面にヒットする。 ばしばしばし  三体のスケルトンの長い棒が再び振り下ろされる。 どうっ  《大猪|ビック・ボア》が倒れた。 しゃ  二本の矢が刺さっていた《大猪|ビック・ボア》にさらに三本の矢が刺さり石が降り注ぐ。  三体目の《大猪|ビック・ボア》が倒れる。  あっという間に群れの半分を失い三体の《大猪|ビック・ボア》が遁走を開始した。 しゃ  空を切り裂き一本の矢が一体の《大猪|ビック・ボア》の足に命中する。  《大猪|ビック・ボア》はつんのめるように地面に倒れた。  わらわらと四体のスケルトンが長い棒を振り上げながら《大猪|ビック・ボア》に殺到する。 ぷぎぃいぃぷぎぃいぃ  断末魔の悲鳴をあげ四体目の《大猪|ビック・ボア》が倒れた。 「追撃は棘の反撃があるからこれまでだな。ご苦労様でした」  木の上から狩猟の場にやって来たナオが手を上げると長い棒に《大猪|ビック・ボア》を括り付けていたスケルト達が深く頭を下げる。  ちなみにこの《大猪|ビック・ボア》は牙はアクセサリーに棘は短槍に皮は鎧の材料に肉は加工食品となってソロモン送りだ。  今年は良い値で売れるはずだとナオは皮算用を弾きながら村に戻る。 「なかなかの戦果ですね。これなら安心して部隊指揮を任せられます」  四体の《大猪|ビック・ボア》を持って村に凱旋したナオをアルテミスが大袈裟に褒める。 「部隊指揮ですか?」  ナオの目が点になる。 「今回狩りの手際を聞き判断しました。年季明けになりますが正式に貴女をスカウトします。このことはソウキさまの許可も受けております」  そういってアルテミスは一枚の羊皮紙をナオに差し出す。  そこには税を抜いて月に金貨一枚の俸給。住宅と畑とスケルトン十五体の供与と書かれていた。 「取りあえずこれを最低の条件として提示します。またスケルトン十五体は今日同行した者たちを貴女の下につけます」  アルテミスの言葉にすかさずナオは頭を下げる。 「条件は詰めるとして、お話は受けさせていただきます。ただ最低条件の報酬を前倒しでいただけませんか?」  一旦言葉を切る。 「畑はなるべく早く手を入れたいのです。それと、年季が開けたとき名前を変えたいと思っています」  ナオは深く頭を下げてお願いをする。 「この1年間、鍛えた甲斐がありました。いいでしょう。好きにしなさい」  アルテミスはカラカラと歯を鳴らして笑った。  あと3カ月ほどでナとリベッチの年季は終了する
1
15
シリーズ一覧
感想を送る
作品を紹介
ブックマーク
しおりを挟む
作品情報
使い方
登録が完了しました!
確認事項
戻る
実行