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春雷 ‐白川侯爵家のよしなしごと-
全 3 章
著: 楢崎硝花
1
お揃いの秋
大正時代、某女学校に通う春佳は躍る胸を抑えられないでいた。今日は、お友だちの白川一花さんに誘われてオペラへ行く日。精一杯、何てことないように澄まして行ったお屋敷で、しかし、一花はいない。どうしてだろう。いぶかしげな顔をする春佳に、一花の父、晴己は微笑むばかり。小さな客人に少し待つよう言って、応接間へ通した。
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2
花匂う春
明治時代、白川侯爵家の次男、晴己(はるみ)は招待状を手に、首をかしげていた。あまり付き合いのない相手から、しかも、娘に会わせるようなことまで書いてある。観桜の会を銘打った、それは明らかに「見合い」だった。所以を求めれば、兄には匙を投げられ、乳母には邪推せずに誠実な心で向かえと言われる。気がむかないながらも、ともかく行けばいいのだと諦めて、晴己は招待状を仕舞った。
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3
遠雷
あちらこちらと忙しない晴己を、徳子が叱り飛ばした。しかし、彼は待ちわびていたのだった。今日は、女学校から娘が戻ってくる日。夏以来の再会に胸を膨らませる晴己だが、手元には娘への見合いの申し入れがあった。見合いをすべきだと理解していても、この小さな娘が手元から離れていくことを受け入れられない。甘えたがりな娘は、鈴を鳴らすように笑って、無邪気に両腕を伸ばすのだから。
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34 分
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